5G網を低コストで構築「オープンRAN」、ドコモが国際規模でビジネス拡大へ
NTTドコモが、複数メーカーの通信機器やソフトウエアを組み合わせることで第5世代通信(5G)網を低コストで構築する「オープンRAN」の普及に向けた取り組みをペルーや東南アジアで実施した。ドコモがNECや富士通、米AWSなど国内外のITベンダーと連携して提供するオープンRANサービスブランド「OREX(オレックス)」を現地の通信事業者などに認知してもらう一環。国際規模でのオープンRANビジネスの拡大につなげる。
ペルーでは日本政府や現地の通信大手エンテル・ペルーの協力を受け、ワンカベリカ州で5Gスタンドアローン(SA、単体)のオープンRANの実証を行った。エンテルが実施したテストによると、ダウンロード時の通信速度が毎秒790メガビット(メガは100万)と4Gに比べて大幅に高速化できたという。
シンガポールの通信大手スターハブのデータセンター(DC)で実施した5GオープンRANのラボトライアルにも成功した。5GSAモードのOREXオープンRANソリューションがスターハブの商用5Gコアネットワークシステムに接続でき、遅延を15ミリ秒程度に抑えられた。
インドネシアではカリマンタン島に建設した新首都ヌサンタラで、テルコム大学や現地の通信大手テルコムセルなどと連携して5GオープンRAN装置の動態展示を9月末まで行った。テルコムセルの5Gコアネットワークシステムとの相互接続にも成功した。
携帯基地局などの無線アクセス網(RAN)の構成する機器は従来、同一メーカーの機器同士しか接続できず特定のメーカーが一括で請け負う方式が主流だった。だが、RANの仕様をオープン化して異なるメーカーの機器同士でも接続可能にすることで、携帯通信会社が場所に応じて最適な機器を選べるオープンRANが普及しつつある。
ドコモは2018年に海外の通信大手と共同でオープンRANの普及を目指す「O―RANアライアンス」を設立。24年4月にはNECとの共同出資会社OREX SAI(オレックスサイ、川崎市川崎区)を設立し、オープンRANの構築や関連サービスの販売に乗り出した。同社はカンボジアで4GオープンRANの実証を行う。