村田製作所、間接材の購入権限を現場に移管・分散した狙い
村田製作所は国内外での間接材の購入権限を調達部門から、各部門や工場に移管、分散した。調達部門の負担を軽減することで、新規仕入れ先の開拓や後継者問題を抱える中小仕入れ先の調査といった、調達リスクの未然防止活動にリソースを割けるようにする。サプライチェーン(供給網)分断に備えた複数購買や環境配慮など、多様化している企業の調達活動への課題対応に力を入れる。
オフィスの文具、生産現場の工具や手袋など、間接材の調達全体における割合は金額ベースでは数%にとどまるが、件数では30%を占める。これまで工場や部門でこれら間接材を購入する場合、担当する調達部門への申請が必要だった。新たに間接材調達プラットフォームを導入することで、各拠点に間接材購入の権限を移管した。
調達部門では製品の競争力に直結する製品原料といった直接材や生産設備の調達業務を手がけており、間接材の調達業務が負担となっていた。「手間のかかるルーティーン業務にメスを入れ、より頭を使う業務をできるようにしたい」と宮尾晃平執行役員調達統括部統括部長は話す。
各拠点では、新たに導入した間接材調達プラットフォーム「クーパ」により間接材を本社や担当の調達部門を通さず、直接購入できるようにした。仕入れ先の価格を比較する機能などを備える。間接材の取引データは蓄積され、購買の実態をより詳細にグローバルで可視化することでコスト低減にもつなげる。権限移管に伴い購入金額などの制約は設けた。
日刊工業新聞 2024年11月20日