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航続距離50km伸長…トヨタが開発、水素エンジンHV「商用ハイエース」の性能

航続距離50km伸長…トヨタが開発、水素エンジンHV「商用ハイエース」の性能

トヨタの中嶋副社長と水素エンジン車とハイブリットシステムを組み合わせた海外向け商用車「ハイエース」

トヨタ自動車は、水素エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせた商用ハイエースを開発した。水素エンジンのみの場合に比べ、航続距離が50キロメートル伸びたほか、走り出しなどをモーターのパワーで補うため加速性能が約25%向上した。早ければ2025年春にも豪州で同車両の走行実証を実施する。水素エンジン車の社会実装に向け、耐久性や信頼性、利便性を追求する。

16日に富士スピードウェイ(静岡県小山町)で開発車両を公開した。トヨタではカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ、CN)の実現に向け、モータースポーツの現場で水素エンジン車の技術を21年から磨いている。この技術を活用し、23年11月には商用ハイエースに気体水素で稼働する水素エンジンを搭載。豪州メルボルン近郊で建設会社や警備会社へ車両を提供し、走行実証を続けてきた。

同実証で浮き彫りとなった課題が航続距離だ。水素ステーションなど給水素設備が不十分なため、水素の残量を常に気にしなければならない。そこでトヨタが強みとするハイブリッドシステム(THS)を搭載。航続距離は従来比25%増の250キロメートルに向上した。積載量はハイブリッドシステムを搭載したため100キロ減の1200キログラムとなった。

トヨタの中嶋裕樹副社長は「輸送の大半をトラックでまかなうグローバルサウス(新興国)では、輸送時の二酸化炭素(CO2)低減に興味がある。水素に対するさまざまなチャレンジを続けていく」とさらなる開発に意欲を示した。


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日刊工業新聞 2024年11月18日

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