陸上部隊の任務支援…無人車両を統一制御、防衛省が基盤開発へ
25年度概算要求に14億円計上
防衛省は2025年度から無人車両(UGV)に関する制御システムやシステムインテグレーション研究に乗り出す。戦場で自衛隊員の行動と連携・協調し、陸上部隊の一連の任務を支援するための運用と制御技術を研究する。敵対する相手の前線偵察の情報収集からUGV群の撃破、味方の負傷者輸送、補給品の輸送まで、UGVに適切かつ着実に伝達し、実行することで、省人化や部隊戦闘力の向上につなげる。
UGVには前線偵察や負傷者輸送など任務に応じて大型、中型、小型の各サイズがある。これらすべての車両に対応機器を搭載し、部隊としての統一行動が取れるプラットフォーム(基盤)を開発する。研究期間は27年度までの3年間。25年度予算の概算要求に14億円を計上している。
兵員不足はどこの国でも悩みの種となっている。近未来の戦闘は歩兵などの人間とUGV、飛行ロボット(ドローン)などが同じ部隊として戦うことが予想される。戦場では新たな敵の出現など状況が刻々と変わるため、建設機械の遠隔操作のような方法では対応できない。防衛省の担当者は「歩兵部隊の指揮官が前方を指差したら、UGV部隊が直ちに追撃するような、命令視認できる近距離での伝達方法が前提になる」と指摘する。
人の動きに追随して走行するロボット車両は、工場内の部品運搬などで実用化されている。介護施設では高齢者の転倒や異常を部屋外から検知できる骨格センサーや温度センサーもある。UGVの制御システムとして、防衛省はこうした民間技術の長所・短所をそれぞれ洗い出し、その上で全体制御ができる使いやすいシステムを目指す。
日刊工業新聞 2024年11月14日