機能化学8社の4-9月期、6社が営業増益…半導体・自動車の市況回復も残る課題
12日に出そろった機能化学8社の2024年4―9月期連結決算は、6社が前年同期比で増収営業増益だった。半導体や自動車など川下の市況回復に伴い、各社が注力する高機能製品が業績の押し上げに寄与した。ただ、海外比率が高い企業では為替リスクが課題として残る。
信越化学工業は主力の塩化ビニール樹脂の価格上昇に努めたが、カセイソーダは一進一退だった。シリコンウエハーなどの半導体材料は用途にもよるが、生成人工知能(AI)向けを筆頭に回復しているという。
カネカは塩ビのアジア市況が下振れした影響を受けた一方、ポリイミドフィルムやアクリル樹脂のほか、血液浄化器やカテーテルの販売増が寄与。UBEはナイロンポリマーやカプロラクタム(CPL)の販売数量が海外で増えたほか、価格も上昇したことがプラスに影響した。ハイブリッド車(HV)用電池で使う乾式セパレーターの販売増も増収営業増益に貢献した。
ADEKAは生成AIの需要回復に伴い、先端DRAM向け高誘電材料や先端フォトレジスト向け光酸発生剤の販売が伸長。デンカは半導体や電子部品の回復に伴い、球状アルミナや球状シリカ、高機能フィルムが好調だった。需要が低調なクロロプレンゴムは、工場がある米国の規制当局の動きもみて「抜本的対策をとる」(今井俊夫社長)とした。
日本ゼオンは合成ゴムで原料価格高騰による値上げを実施。移動情報端末向けシクロオレフィンポリマー(COP)や光学フィルムの需要回復と、半導体容器向けCPOの出荷増も寄与した。トクヤマは子会社を連結対象外にして減収となったが、半導体関連製品の販売の堅調さや石炭価格下落による製造コスト減で営業増益を確保した。
住友ベークライトでは、半導体関連材料が中国で想定以上の伸びをみせた。EV用途に減速感があったものの、HVやAI用途の需要増が業績に寄与した。
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