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かつての輝き取り戻せるか、ニデック・岸田体制が見せ始めた”ポスト永守”の独自色

かつての輝き取り戻せるか、ニデック・岸田体制が見せ始めた”ポスト永守”の独自色

独自色を見せ始める岸田社長CEO

ニデックの岸田光哉社長最高経営責任者(CEO)が就任してから半年が過ぎた。大きくつまずいた電気自動車(EV)向け事業の立て直しに一定のめどを付けるなど、“ポスト永守”として独自色を見せ始めた。永守重信グローバルグループ代表の強烈なリーダーシップで成長を遂げてきたニデックが、再びかつての輝きを取り戻すことができるのか。そのカギとなるのが“シナジー”と“対応力”となりそうだ。(京都・友広志保)

「シナジーを生むための棚卸し作業が終わった」。岸田社長はシナジー発揮に向けた施策を立て続けに打ち出した。まず10月1日付で電動パワーステアリング(EPS)などを手がける欧米の車載既存事業を、家電や産業用モーターを手がけるACIM事業に統合した。マネジメントに課題を抱えていた欧米の車載既存事業を、ACIM事業の組織運営力を生かして再生する。車載既存事業のトップにもACIM事業から人材を送り込む。

加えて車載関連の再編も決めた。電子制御ユニット(ECU)を手がけるニデックエレシスと、自動車電装品のニデックモビリティのグループ会社2社の統合作業に着手。世界的に不足するソフトウエア技術者を集約し、ECUを中心としたソリューション展開を強化することで、これまで以上に完成車メーカーへ食い込みを狙う。

岸田社長が「グループシナジー創生の第一歩」と説明する車載事業以外では、人工知能(AIデータセンター関連でグループの総合力を発揮。水冷モジュール接合部品「クイックカップリング(QC)」では、買収したTAKISAWA(岡山市北区)の工作機械を製造に活用し、ハードディスクドライブ(HDD)分野で培ってきた技術をヘリウムリーク検査に生かした。

一方、EV駆動装置「イーアクスル」の再建では、スピーディーな対応力を見せる。岸田社長は車載事業トップだった2023年10月、イーアクスル事業を「量から質」へと大きく方針を転換。中国・広州汽車と仏ステランティス向けに供給を絞り込んだ。その結果、広州汽車向けは7―9月期に黒字化、ステランティス向けは赤字幅が計画よりも縮小し10―12月期は「黒字に持って行きたい」(岸田社長)というところまで持ち直した。岸田社長は「あの時期に決断して本当によかった」と振り返る。

グループシナジーの最大化によって成長を加速するため、岸田社長は今後もグループ再編を辞さない姿勢を示す。そして自らの最大のミッションについて「高収益でしっかり成長できる体制をこの2、3年で整え、(永守氏が打ち出した)売上高10兆円のグローバル企業になれる体力作りをすること」と強調する。


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日刊工業新聞 2024年11月13日

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