熟練技能者と同等以上の高品質…鹿島が開発、鉄骨柱全自動溶接ロボットの実力
鹿島は11日、鉄骨柱の溶接作業を全自動化できるロボットを開発したと発表した。溶接材料で埋める隙間「開先」のセンシングと、溶接時に発生する不純物「スラグ」を除去する機能を開発し、実装。柱全周を溶接するたびに技能者が対応していたスラグの除去作業が不要となる。横浜市内で施工中のビルにおいて、一部の大型鉄骨柱の溶接に実導入し、熟練技能者と同等以上の高い品質で柱1本の全自動溶接を実現できることを確認した。
「開先センシング機能」と「スラグ除去機能」を従来型ロボットに実装し、新型の「マニピュレータ(多関節型アーム)型現場溶接ロボット」として開発した。柱溶接部の開先形状を自動で計測して溶接条件を自動生成できるため、スラグを除去する手作業がなくなる。開先形状の計測や溶接、スラグ除去までを自動で繰り返し、柱1本の全自動溶接が可能となる。
同社は今後、溶接時間の短縮などに取り組むほか、厚板や超大型鉄骨柱、狭開先などにも対応するため、より一層の機能向上を目指す。また技能者が複数の溶接ロボットを並行運用できる体制の確立によって鉄骨柱の現場溶接作業のさらなる省人化を図り、生産性向上につなげる。
日刊工業新聞 2024年11月11日