認証不正の影響残る…トヨタ系部品メーカー5社の通期予想、分かれた明暗
トヨタ自動車系中堅部品メーカー5社が30日発表した2025年3月期連結業績予想は、売上高と各利益段階について2社が上方修正、2社が下方修正し明暗が分かれた。自動車メーカーの中国での販売不振やトヨタグループの認証不正による影響が残る一方、為替の円安効果やインフレ分の価格転嫁などで収益を改善している企業もあった。
主要取引先であるトヨタの販売減が響く。大豊工業は24年4―9月期決算の状況や原材料費、労務費増を受けて通期予想を下方修正。当期損益の予想は19億円の黒字から29億円の赤字(前期は17億円の黒字)に一転した。下期について新美俊生社長は「自動車市場全体では若干の回復を見ており、電動車用ダイカスト製品の受注拡大も見込む」と語った。
フタバ産業も自動車生産台数の低下を受け通期見通しを下方修正したが、「下期は上期より若干台数が増える」(魚住吉博社長)との予想を立てる。
一方、中央発條は「新型スタビライザーが量産に入った」(小出健太社長)ことなどが寄与し、4―9月期は売上高と営業利益で過去最高を達成。インフレ分の売価反映が進むことも踏まえて通期予想を上方修正した。
東海理化は4―9月期の業績が想定を上回ったことから通期予想を引き上げた。中国市場減速の影響もあるが、「原価低減などで対応していく」(二之夕裕美社長)構えだ。
愛三工業は通期予想を据え置いた。4―9月期決算は、デンソーから取得した燃料ポンプ事業の販売が売上高や利益を押し上げ、増収増益で着地した。
ファインシンターは同日、海外子会社の不適切な会計処理で延期していた4―6月期決算を発表。国内や東南アジアの販売増などにより増収を確保し、営業・経常損益も赤字幅が縮小した。4―9月期決算の発表は11月14日に予定している。
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日刊工業新聞 2024年10月31日