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自動車部品メーカーが開発に熱…EV製品の最新技術まるっと紹介

自動車部品メーカーが開発に熱…EV製品の最新技術まるっと紹介

コロナ禍の影響が和らぎ、にぎわう展示会場

電気自動車(EV)向け製品の開発が熱を帯びてきた。5日に愛知県国際展示場(愛知県常滑市)で開幕した自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展2023NAGOYA」では、自動車産業のお膝元で部品メーカー各社がEV関連の最新技術を披露している。(特別取材班)

車載電池の信頼性向上

リチウムイオン電池(LiB)向け筐体(きょうたい)部品を提案するのは大豊工業だ。エンジン向け軸受で培った圧接技術を応用。異種材料である銅とアルミニウムを結合し、電池の負極で利用する「クラッド端子」を開発した。バスバーと呼ばれるアルミの電極を銅の端子に直接溶接すると金属間化合物が生成され電気抵抗を生む原因になるが、クラッド端子により電池の信頼性向上につながる。

大豊工業の電池向け製品「クラッド端子」は、エンジン向け軸受で培った圧接技術を応用した

イノアックコーポレーション(名古屋市中村区)も電池関連の製品開発を強化している。高機能ウレタンやシリコーンなど機能性素材をEVバッテリー向けにまとめた「BEVアプリケーションガイド」を披露する。シール材や冷却材、耐熱セパレーターなど電池ケース内部で必要となる樹脂素材を提供。技術本部開発部の船戸利恭部長は「バッテリー向け素材のニーズは増えている」と感触を語る。

日本テキサス・インスツルメンツは日本でも加速するEV市場の取り込み強化を狙い、10年ぶりに出展した。展示した車載電池管理システムは、18個のセルを一つのICで管理でき、異常時はマイコン制御を経ずに遮断が可能だ。需要の高まる高電圧化や状態監視精度の向上への対応を強化しており、次世代品では28個のセル管理が可能なICや、電気的な特性から異常を予兆検知するシステムなども開発している。

ブレーキやエンジン向けバネを手がける愛幸発條(愛知県日進市)は銅線の線材加工品のサンプルを出展。これまで同社が手がけてきたステンレスや鉄系の線材と異なり軟らかいのが特徴だ。傷が付きやすく被膜も剝がれやすいが、電池向けやモーター内部で使用する銅線製品の需要増を感じており、出展を契機にさらなる加工の受注に結び付けたい考えだ。

中島産業(岐阜県土岐市)はボルト表面に20マイクロ―30マイクロメートル(マイクロは100万分の1)のガラス質セラミックスの強固な被膜を溶射で形成する技術を初披露した。設計変更なしにボルトに絶縁性を付加でき、EV開発で課題の異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)を防げる。同社は顔料をコア技術に大手企業や大学と共同研究を進めている。「当社にしかない技術で環境対応に貢献する」と中島幹夫社長は意気込む。


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日刊工業新聞 2023年07月06日

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