宅配ボックスからメルカリ商品発送、パナソニック・三菱商事が全国展開
パナソニックハウジングソリューションズ(PHS、大阪府門真市、山田昌司社長)と三菱商事が連携し、宅配ボックスから電子商取引(EC)の商品を発送できるサービスの全国展開に乗り出した。フリーマーケットアプリケーション「メルカリ」の商品を対象に、利用者が外出中でも宅配ボックスから運送業者が荷物を集荷する。宅配ボックスの用途や設置を増やし、多様化する消費者のライフスタイルに対応するとともに、人手不足に直面する運送業者の負荷低減を推進する。(編集委員・田中明夫)
三菱商事グループのコンビニエンスストア「ローソン」の店頭などで展開するEC・レンタル商品の発送サービス「Smari(スマリ)」を拡充した。2023年4月からEC業者約20社と提携して首都圏の戸建て住宅向けに始めたスマリ対応について、メルカリ商品を対象にマンションを含む全国の住宅に広げた。ヤマト運輸と連携する。
利用者は住所情報などが入った2次元(QR)コード付きの宅配ボックスに商品を入れて施錠し、暗証番号を受け取った運送業者が荷物を集荷する。マンションの各住戸前に宅配ボックスがある場合でも、パナソニック製のインターホンとの連携で共用玄関のオートロックを解錠し、運送業者は住戸前まで集荷に行ける。
利用者は時間に拘束されずに非対面で商品を発送できるほか、宅配ボックスが普及すれば人手不足に悩む運送業者の再配達の削減にも寄与する。PHSのスマリ対応宅配ボックスの23年4月以降の販売実績は数千台で、これを25年度に年間1万台に増やす計画だ。PHSの林伸昭外廻りシステム事業部商品企画部部長は「(宅配ボックスの拡販を通じ)労働や物流、環境などの社会課題の解決につなげていく」と意気込む。
物流市場では、4月に始まったトラック運転手の時間外労働の上限規制に加え、25年4月からは交通事故が増えている軽貨物の輸送業者も安全管理者の専任などが義務付けられる予定。ラストワンマイル(目的地までの最終区間)の宅配を支える個人事業主の安全対応への貢献を含め、物流を効率化できる環境が求められている。
三菱商事はスマリについて今後、「全国発送が可能になったインフラなので(メルカリ以外の)サービサーにも展開していきたい」(砂田重文S.L.C.グループ食品流通・物流本部物流開発部長)と拡充を計画する。ローソン店頭で始めたスマリをデジタル技術で広く家庭に展開し、物流における課題解決や消費者ニーズの取り込みにつなげる方針だ。
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