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排ガスゼロだけじゃない、セイカダイヤエンジンが事業化へ「EV漁船」の利点

排ガスゼロだけじゃない、セイカダイヤエンジンが事業化へ「EV漁船」の利点

鹿児島で実証を始めたEV漁船

セイカダイヤエンジン(東京都新宿区、柴﨑亨社長)は、ディーゼル漁船の電気推進船(EV船)の事業化に着手する。このほどマルハニチログループのマルハニチロAQUA(鹿児島市)のブリ養殖場向けに自社開発のEV船を貸与し、共同で実証実験を始めた。二酸化炭素(CO2)排出量削減の取り組みで、ディーゼルエンジン漁船のEV船への切り替えが今後社会的課題になると見て、運用の課題を洗い出し、実用化につなげる。

EV船はディーゼルエンジン船と違って排ガスがない上に、燃料油流出の恐れがなく養殖漁場を汚染しないほか、音が静かなため魚にストレスを与えないといった利点がある。セイカダイヤエンジンは舶用エンジンの販売と据え付け、保守、修理を手がけており、その経験を生かしてEV船を開発した。

漁船の大きさは総トン数が20トン未満の小型船舶を想定する。このクラスは隻数も多く、定期修理などの期間を利用して舶用ディーゼルエンジンをリチウムイオン電池(LiB)の推進ユニットに付け替え、EV船に仕立てる事業を目指す。

その際、同社が資本業務提携しているエイトノット(堺市北区)製の自律航行システムも装着し、脱炭素と省人・省力化の両面で効果をPRする。

システム全体の費用はLiBなどを含めると1000万円以上が見込まれるため、実際の顧客は大手水産会社や商社が中心になるとみている。これら企業は費用よりも環境対応やサステナブル貢献を重視する傾向が強く、売り込みを図る。


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日刊工業新聞 2024年9月12日

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