インド半導体に照準…東京エレクトロン、タタ系と提携
東京エレクトロンは、インド大手財閥タタ・グループ傘下のタタ・エレクトロニクスと提携したと発表した。インド政府から支援を受けるタタ・エレクトロニクスは、同国内に半導体の前工程と後工程の工場を建設しており、東京エレクトロンはフィールドエンジニアによるサービスや研究開発の分野で協力する。現地での半導体工場の集積を見据え、半導体製造装置各社の動きが活発化してきた。
インド政府は製造業振興戦略として「メーク・イン・インディア」を掲げ、補助金などを通じて、半導体産業の育成を図っている。タタ・グループは台湾の力晶積成電子製造(PSMC)から技術供与を受けて半導体の前工程工場を建設する。投資額は9100億ルピー(約1兆7000億円)で2026年の稼働を目指す。米マイクロン・テクノロジーやルネサスエレクトロニクスもそれぞれ現地企業と組み、半導体の組立工場を建設する方針だ。
こうした動きを受け、半導体製造装置各社も拠点の設置に動いている。東京エレクトロンはすでにインド国内にマーケティング拠点を開設済み。アドバンテストもソフトウエアの開発拠点を持っている。米ラムリサーチは22年に簡易な開発機能を持つ「エンジニアリングセンター」を開設した。
これまでインド国内の人材育成を生かそうと、半導体分野ではソフト開発拠点やデザインハウスは存在していたが、半導体工場の建設で半導体製造装置の需要は大きく増える。
インドでの半導体工場の稼働には電気や産業ガス、水などインフラ面の課題は多い。一方、米中対立を避ける形で製造業のサプライチェーン(供給網)の再編が強まっており、同国への期待は大きい。
日刊工業新聞 2024年9月11日