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首都圏・関西の大手鉄道狙う…三井住友カード、公共交通向けタッチ決済5割増

首都圏・関西の大手鉄道狙う…三井住友カード、公共交通向けタッチ決済5割増

クレジットカードを改札の専用端末にかざすだけで、公共交通機関に乗れる

三井住友カードは2025年3月末までに、公共交通機関向けタッチ決済システム「ステラ・トランジット」を採用する交通事業者を24年3月末比5割増の約180社・団体に増やす。特に首都圏や関西の大手鉄道事業者のニーズが高いとみて、提案を推進する。サービスを導入することで、駅員の業務負担の軽減、乗客の利便性の向上などにつながる点を訴求し、交通事業者の需要を開拓する。

三井住友カードは、20年にステラ・トランジットの提供を開始。決済認証術のクアドラック(東京都港区)、自動改札機製造の日本信号などと連携してサービスを拡大してきた。タッチ決済はVisa(ビザ)、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブ、ディスカバー、銀聯(ぎんれん)など複数のカードブランドに対応するため、インバウンド(訪日外国人)旅行者でも利用しやすい。交通事業者にとっては交通系ICカードよりも低いコストで導入できる利点もある。

三井住友カードは、タッチ決済で乗り降りした乗客の属性データを活用した分析サービスの提案にも注力していく方針。乗客の消費行動などを見える化することで、公共交通サービスの向上や商業施設との連携、地域活性化策の立案などに生かしてもらう。

ステラ・トランジットは、これまで地方のバス事業者などに多く採用されてきたが、今後は首都圏や関西の大手鉄道事業者でも本格的に採用が進む見通し。24年度には京浜急行電鉄などが実証実験を始める。公共交通機関でのタッチ決済の導入は、欧米をはじめとする世界の主要都市で進んでいる一方、日本では後れていた。

交通系ICカードをめぐっては、運用コストなどを理由に交通事業者が導入を取りやめる動きもある。5月、熊本県内の複数の交通事業者が全国交通系ICカードを廃止し、タッチ決済を導入する方針を発表した。

日刊工業新聞 2024年8月8日

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