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工場の人的ミスゼロに…日本ペイントHDが始めた「行動タイプ分類で生産改善」の中身

工場の人的ミスゼロに…日本ペイントHDが始めた「行動タイプ分類で生産改善」の中身

行動タイプ別の分類で成果を上げる日本ペイント・サーフケミカルズの岡山工場

日本ペイントホールディングス(HD)は製造技能者の行動タイプを分類し、人的ミスを減らす生産改善活動を傘下の事業会社で始めた。細部まで確認するタイプや直感行動タイプなど技能者を観察し7タイプに分け、タイプ別の長所・短所を整理。自らの短所がミスを招きやすい作業状況の気付きを増やすほか、互いの長所でカバーできるようにする。事業会社によっては長期のミスゼロも達成しており、導入する事業会社を増やす。

日本ペイントHD傘下で、塗装下地と皮膜の処理剤を手がける日本ペイント・サーフケミカルズ(東京都品川区)が行動タイプ別の分類による生産改善活動を発案。2022年に活動を始めた。岡山工場(岡山県勝央町)と栃木工場(宇都宮市)の製造技能者を合わせた約20人を対象としている。

技能者を「細部まで確認」「直感行動」や「指示を仰ぐ」「自己判断」「責任感」「自信家」「器用」の7タイプに分け、長所・短所を整理。上長が技能者の行動特性を把握しやすくした。

例えば直感行動タイプは仕事が早いが、準備不足でミスしやすい傾向があるという。そこでタイプ別にミスを起こしやすい状況の確認ポイントを設定し、上長が的確に指導。技能者も自身と向き合い、ミスしやすい場面の気づきを増やす。同僚同士も自身の長所を生かし、互いにアドバイスする。

日本ペイント・サーフケミカルズはこの生産改善活動に取り組んだ結果、22年以降は人的ミスがゼロで生産性も向上した。一方、日ペHDは傘下に塗料の国内事業会社が6社ある。人材教育や生産改善の優れた活動について共有化を進めており、行動タイプ別の生産改善も23年から横展開を試みている。

技能が必要な塗料製造では一般に手順書や規定化で生産改善を図るが、それだけではミスをゼロにできない現実もある。

そこで行動タイプ別に技能者の行動特性を正しく把握し、ミスしやすい場面のあぶり出しや相互のアドバイスによってミスゼロ達成を目指す。

日刊工業新聞 2024年07月29日

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