無線タグで検品削減、ダスキンが進める「誰でも働きやすい工場」
ダスキンはオフィスや店舗、家庭などにレンタルするマットやモップに無線識別(RFID)タグを取り付け、製品入庫時や出庫時の検品・検数作業を自動化する取り組みを始めた。レンタルから戻ってきたマットやモップなどを洗浄する工場では、女性も多く働いている。労働人口の減少や高齢化も進む中、労働負担を軽減し、誰でも働きやすい工場の構築を進めている。(大阪・岩崎左恵)
ダスキンはレンタルしたマットやモップを再びレンタルできる製品に戻すため、地域の店舗が回収し、工場で洗浄する。工場の一つである大阪中央工場(大阪府吹田市)では、1日に約3万2000点のレンタル品を扱う。従来、レンタルから戻った製品や出荷する製品は2人1組が手作業でチェックし、数えていた。ただ、製品のサイズや種類が多くて見分けにくく、重い製品もあり、労力がかかるのが課題だった。
この作業をRFIDタグの読み込みに置き換えれば、タグに登録したサイズや種類などを自動で読み取ることができ、人手の作業が不要になる。作業者が1人で済むほか、経験やスキルに影響されにくくなり、初心者の作業も可能になる。レンタルから戻ってきたモップのチェックなどをする担当者は「商品を覚えるだけで大変だが、一目で分かるようになった」と話し、ミスも減らせるようになった。
大阪中央工場では、約6割を女性従業員が占める。上野進一郎取締役執行役員は「重いものや使用済みの製品などの接触機会を減らし、少しでも働きやすい工場にしていく」と、RFID導入の意義を話す。RFIDを導入したことで、入庫・出庫の検品・検数の作業時間が約80―90%削減できており、人手不足への対策としても効果を期待できる。
また、工場内ではパートタイマーやアルバイト、要介護者を家族に持つ社員など、さまざまな従業員が働く。工場での業務はチームごとに分かれているが、チーム内の仕事は全員ができるよう標準化してローテーションを心がける。工場の仕事内容によっては、社内ライセンスを取得する必要もある。ライセンスを取得できるよう教育にも力を入れ、従業員のスキルアップも後押しする。
工場では働き手の高齢化が進んでいることも課題となっており、重い製品や使用済み製品を触る機会を減らすなど、働きやすい環境に改善していく必要がある。上野取締役執行役員も職場環境について「まだ改善の余地がある。突き詰めていきたい」と強調。安全面なども考慮して製品を運ぶ機会をなくすなど、初心者や高齢者を含むさまざまな人材が働くことができる工場にしていく考えだ。
ポイント
男性正社員は独自の育児休暇制度を含む育児休業の取得率で2022年度に100%を達成した。4月から配偶者出産時の有給休暇3日間をアルバイトを含む全男性社員に拡大するなど、多様な制度の整備に力を入れている。