3D半導体に対応…日立ハイテク、開発に着手した新検査装置の中身
電気特性インライン計測
日立ハイテクは生成人工知能(AI)サーバーに使うロジックなど最先端半導体を対象に、電気特性などを製造プロセスの早い段階でインライン計測できる装置の開発に乗り出す。最先端半導体は今後、3次元(3D)構造や裏面電源供給技術の導入で構造が立体化・複雑化し、歩留まりの低下リスクが高まる見通し。早期に計測できる技術を実現し、歩留まり低下の原因を迅速に特定できるよう貢献する。
ロジックでは現在、裏面電源供給の適応が検討されている。一方、DRAMでは2030年代にも垂直方向にビット線(信号線)を格納する3D化へと向かうと想定される。半導体技術が急速に進展し3D化する中、最先端半導体デバイスでは歩留まりを向上させるため、高精度な検査・計測が要求されている。
日立ハイテクは従来の寸法計測に加え、歩留まり低下の原因特定のため、配線やトランジスタの電気特性をインラインで計測したいニーズが高まると見込む。同社が持つ電子線や光学系の技術を組み合わせ、プロセスの早い段階で計測できるよう新たな装置を開発する計画だ。
従来、ロジックではトランジスタに電力を供給する電源線と、信号をやりとりする信号線は同じ層に形成されている。裏面電源供給は、これを別の層に分ける技術だ。電源と信号を分けることで電源供給に抵抗が低い配線を利用できるため、トランジスタに電気を届けやすくしながら微細化を進展できる。
米インテルは24年中にも「パワービア」と呼ぶ裏面電源供給技術を採用する方針を示している。またゲート・オール・アラウンド(GAA)や相補型電界効果トランジスタ(CFET)など、新しいトランジスタ構造の研究開発も進む。
日立ハイテクはウエハーの計測・検査やエッチング装置を手がける。特に5ナノメートル(ナノは10億分の1)プロセスなど、先端半導体向けの装置で強みを持つ。
調査会社マーケッツアンドマーケッツの情報サービス「ナレッジストア」によると、AI向け半導体チップセット市場は23年から28年にかけて年平均で28%成長し、28年に645億ドル(約10兆3000億円)に拡大すると予測する。
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