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半導体メーカーの歩留まり高める、日立ハイテクがダミーウエハー表面検査速度2.6倍の新型装置開発

半導体メーカーの歩留まり高める、日立ハイテクがダミーウエハー表面検査速度2.6倍の新型装置開発

半導体メーカーの歩留まり高める、日立ハイテクがダミーウエハー表面検査速度2.6倍の新型装置開発

日立ハイテク(東京都港区、飯泉孝社長)は新たな表面検査装置を開発した。半導体の前工程装置の清浄度を確認するために使用した、回路パターンが形成されていないダミーウエハー表面に異物や欠陥がないか検査する。ウエハー表面に照射するレーザーをより高出力・短波長にするなどして、最先端半導体の量産で必要とされる19ナノ(ナノは10億分の1)メートル以上の大きさの異物を見分ける速度(スループット)を同社従来機の約2・6倍に高めた。半導体メーカーの歩留まり向上や検査コスト削減に貢献する。

新製品「LS9600」は直径12インチ(約300ミリメートル)のダミーウエハー専用の表面検査装置。ウエハー表面に当てるレーザーについて出力が高く、波長も短い深紫外(DUV)レーザーを採用することで、一般的なUVレーザーを使っていた従来機に比べ、異物や欠陥から跳ね返る散乱光がより多くなるため、高感度での検査が可能になる。

設計を工夫したレンズの採用で、異物や欠陥から跳ね返る散乱光を捉える面積を広げた。散乱光を電気信号に変える高感度センサーも新たに開発。微弱な散乱光の検出率を約20%引き上げた。

一般に検査感度を高め、より細かい異物や欠陥まで検出できるようにすると、検査速度が低下しがちだ。日立ハイテクは散乱光データの処理計算(アルゴリズム)を改善。ウエハー表面全体から出る散乱光のうち、異物や欠陥からの散乱光のみを拾えるようにした。データ処理も高速でリアルタイムに行えるようにし、検査速度を速めた。

一般的に半導体製造装置は稼働から時間が経つにつれて異物が発生しやすくなる。微細化を背景に、従来より小さな異物や欠陥でも回路の切断などを引き起こして製造工程の歩留まりに影響を与える状況が生じている。

ダミーウエハーを使って定期的にLS9600で検査することで、大量の欠陥が発生する前に装置の点検や修理が行えるようになり、顧客の歩留まり向上などにつながる。


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日刊工業新聞 2022年12月13日

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