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販売シェア30年33%…中国車が世界で存在感、変革迫られる日本メーカー

コスト・開発スピード強み

コンサルティング会社の米アリックスパートナーズは2030年に中国自動車メーカーの世界販売台数シェアが33%に達するとの調査をまとめた。24年予想の21%から12ポイント増加する。新エネルギー車(NEV)の拡大に加え、コスト優位性や現地生産戦略、デザイン、高度技術の実装などが競争力となる。中国勢が世界の自動車産業の主役となりつつある中、業界を主導してきた欧米・日本などの既存の完成車メーカーは変革を迫られている。

※自社作成

30年の主要地域の中国ブランドのシェアは、南・東南アジアで24年比28ポイント増の31%、中東・アフリカで同31ポイント増の39%、中南米で同21ポイント増の28%と予想する。欧州も同2倍の12%と予想する。主要な輸出市場で電気自動車(EV)モデルの組み立てを拡大し、現地需要に対応している。

世界市場で中国市場の存在感も高まる。主要地域の販売台数予測では、中国が30年まで年平均成長率3・4%増と販売台数の伸びをけん引する一方で、北米は同0・7%増、欧州は同0・9%増と1%未満の伸び率にとどまり停滞する。日本・韓国は同1・5%減でマイナス成長を見込む。

中国市場の新車販売は30年に24年比22・5%増の3270万台を予想。このうちEVとプラグインハイブリッド車(PHV)を合算したNEVの比率は、30年に同36ポイント増の77%まで拡大する。自国市場での中国ブランドの優位性はさらに高まり、30年には中国ブランドのシェアが同13ポイント増の72%となる見通しだ。

中国ブランドの強みの一つが車両開発スピードの早さだ。中国EVメーカーの新製品の市場投入は平均1・6年と、非中国ブランドと比較して2―3年早く、最新の技術やバッテリーの搭載も進む。

コスト面でも原材料から部品、組み立て、販売までの垂直統合を確立。内製化でコストを抑え、欧州やその他の地域で関税措置を相殺できる価格の引き下げを可能としている。

アリックスパートナーズの鈴木智之自動車・製造業プラクティス日本チームリーダーは日本の完成車メーカーやサプライヤーの対応策として「内燃機関(ICE)で培った安全性・技術力・体験価値をNEVに生かせることは多い。自動車をネットワークでつながったプラットフォームと捉え、サービス提供による収益性向上と差別化を図ることが中国ブランドとの競争に勝つカギになる」と指摘している。


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日刊工業新聞 2024年07月15日

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