中国EV狙う、アスカネット「空中ディスプレイ」の機能
年度内にも完成見通し
アスカネットは2024年度中にも、独自の光学プレートを介して空中に映像を投影する技術「空中ディスプレイ」の海外量産車への採用を目指す。中国新興メーカーの電気自動車(EV)における車載ディスプレーやインフォテインメント(情報・娯楽)システムなどでの利用を想定。採用を検討しているメーカーからの要請を受けて、自動車室内の過酷な使用環境に対応した光学プレートの開発を進めており、24年度中にも完成する見通しだ。
アスカネットが開発しているのは高耐熱樹脂を用いた光学プレート。中国の代理店を通じてデバイス販売を見据える。温度や湿度、振動など車載品に求められる機能を満たすべく、素材を工夫しながら試作を繰り返し、既に結像品質は完成の域に達しているという。
空中ディスプレイはこれまで、欧州大手完成車メーカーのコンセプト展示での採用例はあったが、量産車の搭載実績はない。新車開発のスピードが速く、EVの普及が急速に進む中国市場では、車内で娯楽や情報を提供する車載インフォテインメント(IVI)の新技術に関心が高い。実用化できれば、競合車との差別化や付加価値として訴求する機能となる可能性がある。
空中ディスプレイは画像や映像を投影する際、特殊に光を屈折させるプレートを通過させて、何もない空間に結像させる技術。測距センサーと組み合わせることで、非接触タッチパネルなどヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)としても活用できる。コロナ禍における非接触化需要は続いており、決済端末への拡大が見込まれるほか、海外でもサイネージ(看板)や産業機械などに展開が想定されている。
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日刊工業新聞 2024年07月09日