生産速度20倍…出光など、常温常圧電解アンモニア合成で世界最高性能
出光興産と東京大学、大阪大学、産業技術総合研究所の研究チームは、窒素と水と電力でアンモニアを作り、電極1平方センチメートル1時間当たり5ミリ―6ミリグラムと生成速度を従来の20倍に向上した。常温常圧の電解アンモニア合成で世界最高性能という。まだ研究室での基礎研究の段階だが、最初のブレークスルーになる。
水と有機溶媒をイオン交換膜で区切って電圧をかけ、水から供給されるプロトンと有機溶媒に溶かした窒素からアンモニアを合成する。有機溶媒側で還元助剤が電子とプロトンを受け取り、モリブデン触媒を介して窒素を還元する。
有機溶媒中で繰り返し機能する還元助剤を阪大が開発した。従来は沈殿したが、新物質は触媒のように繰り返し働く。従来の20倍に向上し、世界最高性能となった。今後、有機溶媒からのアンモニアの安価な回収方法や規模拡大を検討する。
電解合成は電極の面積を広げれば規模を拡大しやすい。また窒素と水からアンモニアを合成できる。現行のハーバー・ボッシュ法は水素を必要としている。余剰電力を貯蔵しやすいアンモニアに変換し燃料や化学品原料として利用できるようになる。
日刊工業新聞 2024年07月08日