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「ペロブスカイト太陽電池」耐久性向上…キヤノンが高機能材料を量産へ

キヤノンは18日、次世代太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池向けに耐久性と量産安定性を高めた光電変換層を被覆する高機能材料を開発したと発表した。複合機やレーザープリンターの基幹部品である感光体の製造で培った技術を応用。同太陽電池内の光電変換層は大気中の水分や熱などの影響を受けて劣化してしまうため、その上から新材料を塗布して保護する。サンプル出荷を始めており、2025年の量産開始を目指す。

キヤノンホームページより

同社によると現在、同太陽電池の研究開発などで光電変換層の被膜に用いられるのは低分子の有機材料で、電荷輸送性が低く数十ナノメートル(ナノは10億分の1)程度の厚みでしか被膜が難しいという。一方、同社の新材料は有機材料のナノ粒子を分散させた構造で、電荷輸送性がありながら100ナノ―200ナノメートルと厚く被膜できる。

新材料は感光体の材料などを製造する福井キヤノンマテリアル(福井市)の設備を活用して量産する方針。太陽電池メーカーなどに展開し、2030年ごろに数十億円規模の売り上げを目指す。

日刊工業新聞 2024年6月19日

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