次世代ディスプレー応用に道、キヤノンがペロブスカイト量子ドットインクの耐久性実証
キヤノンは8Kなどの高精細な有機ELディスプレーに応用可能なペロブスカイト構造を持つ量子ドット(QD)インクを開発し、実用可能な耐久性を実証した。高精細テレビ向けの色域規格「BT.2020」の色域の94%をカバー可能。画素サイズが小さい場合でも、効率良く光を変換できる。これまで実現できなかった次世代ディスプレーに応用できる可能性がある。
プリンターのインクやトナーの開発で培ってきた技術を応用した。独自手法でペロブスカイトQDに保護層を形成することによって、色純度と光利用効率を保持したまま、実用可能な耐久性を実証したペロブスカイトQDインクを開発。実用化に向けて課題となっていた耐久性の低さを解決した。また光の利用効率が高いため、消費電力を約2割削減できると見込む。
ペロブスカイトQDはカドミウムを使わない材料として、リン化インジウム(InP)QDとともに注目されている。InPQDはBT.2020の色域の88%をカバーする。
日刊工業新聞 2023年06月01日