リース会社の25年3月期予想、9社中6社が当期最高益の理由
リース会社の業績が堅調だ。2025年3月期の当期利益は9社のうち7社が増益を予想し、そのうち6社が過去最高を見込む。旅客数の回復に伴い、航空機の需要が引き続き伸長し業績を押し上げる。国内不動産事業も伸びる見通し。ただ、米金利の長期的な高止まりや円金利の上昇が事業に及ぼす影響は見通しにくく、リース各社は対応に迫られている。
「航空機、船舶輸送などによる人流や物流は増大傾向だ」。オリックスの山本和樹業務執行役員は足元の事業環境についての認識を説明する。こうした環境を追い風に25年3月期も航空機やインバウンド(訪日外国人)関連が伸びる。井上亮社長は航空機の需要拡大を見据え「相当な(数の)購入を進めている」と積極姿勢を示す。
25年3月期はオリックス、三菱HCキャピタル、東京センチュリー、みずほリース、JA三井リース、NECキャピタルソリューションが当期利益で過去最高を計画する。
三菱HCキャピタルは航空機、環境エネルギーをはじめとする各事業の伸長や24年3月期に計上した特別損失の剥落などが利益を押し上げる。航空事業では機数を追わずに「しっかりしたポートフォリオを構築し安定的に利益を出していく」(佐藤晴彦取締役)方針だ。
東京センチュリーは全事業で当期増益を見込む。特に航空機などのスペシャリティ事業分野の当期利益が24年3月期から40億円伸びるとみる。馬場高一社長は「生産停滞や米ボーイングの品質問題の影響で機体不足に拍車がかかっている」として「信用力が高い航空会社への営業や資産回転の推進に向けたトレーディングチームの人員強化を進める」考え。
三井住友ファイナンス&リースも引き続き航空機や不動産事業が堅調な見通し。ただ24年3月期に計上したロシア関連保険差益のはく落が大きく響き、当期利益が減益となる見通しだ。
今後の懸念材料の一つが米国市場。三菱HCキャピタルは24年3月期に商業用不動産市場の悪化を受けて時価評価損を計上。新規の契約実行を停止しており、再開の見通しは立っていない。運送市況の悪化を受け主力のトラックファイナンスでも貸倒関連費用が増加した。久井大樹社長は「早期の収益力回復が急務」と認識を示す。
オリックスも信用リスクの上昇や高金利の長期化などから米国事業の本格的な回復に想定よりも時間を要している状況だ。
円金利の上昇への対応も重要課題となる。資金調達コストの増加を見越し、東京センチュリーでは「固定調達の比率を相当程度の水準まで高めてきた」(馬場社長)。リコーリースの中村徳晴社長は「既に利回り改善を先行している。2、3年ほど前から(営業は金利を)かなり意識して活動してきた」と強調する。今後の金利上昇局面に備え、顧客との関係強化の重要性が増しそうだ。
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