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核融合研とヘリカルフュージョンが共同研究、「ヘリカル型核融合炉」とは?

核融合研とヘリカルフュージョンが共同研究、「ヘリカル型核融合炉」とは?

核融合科学研究所のヘリカル装置(LHD)

核融合科学研究所は18日、ヘリカルフュージョン(東京都中央区、田口昂哉代表取締役最高経営責任者〈CEO〉)との共同研究を促進するための産学官連携研究部門「HF共同研究グループ」を同研究所内に設置したと発表した。核融合反応に必要な高温のプラズマを強力な磁場で閉じ込める「ヘリカル型核融合炉」の研究開発を進める。設置期間は2025年3月31日まで。核融合技術を応用し、持続可能なエネルギーの実現を目指す。

一定の温度に冷却すると電気抵抗がゼロになり、電流がほぼ永久に流れ続ける「超電導現象」に対し、従来より高温・高磁場で同現象が起きる「高温超電導」に注目。ヘリカル型核融合炉の研究開発として、高温超電導導体とその技術を使った磁石の研究を進める。高温超電導導体の磁石はヘリカル型核融合炉に使える特性であり、同磁石の設計・製作・試験を実施する。

これまでに核融合科学研究所の持つ大型導体試験装置を使って作製した高温超電導導体の特性を試験。マイナス253度Cの極低温で8テスラの強磁場環境下で19キロアンペアまで通電することを実証した。

核融合発電は、重水素と三重水素(トリチウム)といった軽い原子を融合してヘリウムなどの重い原子に変わる時に生じるエネルギーで発電する。環境に優しい新エネルギーとして注目されており、実現に向けた研究が大学や研究機関などで加速している。

日刊工業新聞 2024年04月19日

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