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核融合炉を小型化…重要技術「高温超電導コイル」、ヘリカルフュージョンが実証へ

核融合炉を小型化…重要技術「高温超電導コイル」、ヘリカルフュージョンが実証へ

超電導体

ヘリカルフュージョン(東京都中央区、共同代表取締役=田口昂哉氏、宮沢順一氏)は、2026年にも核融合発電に必要な「高温超電導コイル」の実証試験を始める。高温超電導コイルは核融合炉の小型化に必要な技術。欧米のスタートアップが開発を急ぐ中、実証試験を通じて商用化に必要な技術を獲得。早ければ34年にも発電能力を実証する考えだ。

ヘリカルフュージョンは核融合発電スタートアップ。2月から高温超電導コイルの素材になる超電導体(写真)の試験を始めた。大電流を流しながら、熱により超電導特性が失われる「クエンチ」が起こらないかなどを試験する。順調に進めば26年にも、この超電導体を超電導コイルにして80キロアンペアの大電流を流す試験を行う。

20年代後半には核融合反応を起こさず、各種機器の性能を確かめる実験装置の完成を目指す。各種機器を統合したプラントの性能を試験する。こうした試験を進め、早ければ34年にも電気出力50メガ―100メガワットの装置で発電実証を目指す。

超電導コイルは強力な磁場を生み出す機器で、核融合反応を起こすプラズマを閉じ込めるために用いる。「国際熱核融合実験炉」(ITER)では、液体ヘリウムを冷却に使う「低温超電導コイル」を採用している。

ヘリカルフュージョンが実証する高温超電導コイルは冷却に液体窒素などを使い、磁場を生み出す。低温超電導コイルに比べ、大きな磁場を生み出せるため、核融合炉を小型化する際に不可欠な技術とされる。一方、高温超電導体は強度が弱く、コイルにする難易度が高かった。同社は超電導体を曲げやすく加工することで、コイルにしやすくした。

ヘリカルフュージョンは核融合科学研究所(NIFS)出身の研究者らが立ち上げたスタートアップ。23年にはSBIインベストメント(東京都港区)などから約8億円の資金調達を実施。国のスタートアップ支援制度「中小企業技術革新制度(日本版SBIR)」に採択され、最大20億円の助成を受け、開発を進める。

日刊工業新聞 2024年02月15日

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