競争率13倍…“人気”JSTのマネジメント人材、採用活況
年俸型定年制職員登用も
科学技術振興機構(JST)による研究開発マネジメントの専門人材育成が本格化してきた。初年度の2023年度に続き24年度も、競争率13倍程度をくぐり抜けた10人弱が入職。ジョブ型雇用と似た「年俸型定年制職員」に移るための登用試験も24年度、着手する。専門性と安定性を両立し、総括研究者の強力なパートナーを育てる仕組みとして、大学や研究開発法人などから注目されそうだ。
公募によるこの「研究開発マネジメント専門員」は、JSTの戦略的創造研究推進事業(CREST)や、ムーンショット型研究開発事業などのファンディング(競争的研究資金の配分)事業のマネジメントを担当する。2年任期の後、登用試験を経て年俸型定年制にシフト。その後は人材ネットワーク拡大、民間投資の誘導など、各人の特色に合わせた業務を強化する。目標の一つは各事業の研究総括(プログラムオフィサー、PO)の右腕、副POに育て上げることだ。
「科学技術の基礎から実装まで関わりたい」「1組織でなく広く貢献する公の仕事を」と、10人弱の枠に応募が約90人と人気を集める。柴田孝博理事は「将来はITや法律に詳しい専門家も同様に雇用したい」と意気込む。
研究支援人材としては大学のアドミニストレーター(URA)においても、運営費交付金による定年制とも、プロジェクト予算による任期制とも異なる人事制度が模索されてきた。JSTは今回、業務で急増している基金関連から人件費を捻出しており、他組織は容易にまねできない。しかしJSTは「ここで育った人材が大学などに出ていき、活躍を広げる思案をしたい」(柴田理事)と、組織を越えた研究システム改革を進める姿勢を打ち出している。
日刊工業新聞 2024年04月04日