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阪大が世界初の開発成功、生体用「8元素混合ハイエントロピー合金」が実現した特性

大阪大学の松坂匡晃大学院生と松垣あいら准教授、中野貴由教授らの研究チームは、生体用としては世界で初めて8元素を混合したハイエントロピー合金の開発に成功した。従来の5種類の元素によるハイエントロピー合金と比べ、高い生体適合性を維持しながら約1・4倍の強度を実現。多様な先進医療ニーズに対応した、さまざまな特性を有する生体材料の開発につながると期待される。

今回開発したハイエントロピー合金では、チタンとニオブ、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、ハフニウム、タングステン、クロムの8種類の元素をそれぞれほぼ等量で構成している。生体適合性の高い状態で混合させることに成功した。研究チームでは、混合のエントロピー(乱雑さ)が2・0R(Rはガス定数)を超えたものが、従来のハイエントロピー合金を超える機能性を期待できるとし、スーパーハイエントロピー合金(SHEA)と定義した。

新合金では生体毒性の少ない元素のみを選択し、骨再建に必要な、骨芽細胞の接着や増殖に優れた特性を実現。高い混合のエントロピーによって固溶体強化(異なる元素が混ざり合うことで生まれる格子歪み増大による強度上昇)による高強度化を達成しており、生体用インプラントへの応用につながると見込んでいる。

ハイエントロピー合金では元素の選択などにより全く異なった性質の合金を作製でき、組成に応じて細胞挙動や組織再生の制御も可能になると期待されている。研究チームは2017年に5元素による生体用ハイエントロピー合金の開発に成功していた。

今回の研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)の支援を受けて実施した。

日刊工業新聞 2024年02月29日

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