応答速度2倍…三菱電機がAIサーバー向け半導体レーザー量産
三菱電機は人工知能(AI)サーバー向けとして、応答速度を従来比2倍に高めた伝送速度200ギガbps(ギガは10億)の半導体レーザー「EML(電界吸収型変調器付きレーザー)」を月内から量産する。200ギガbpsに必要な応答速度と、高い光の強さ(消光比)を両立し、低消費電力と小型化を実現した。電気と光を変換する光トランシーバーなどの光源として、海外IT大手のAIサーバー間における近距離光通信用途を想定する。
三菱電機の高周波光デバイス製作所(兵庫県伊丹市)で量産する。実際にAIサーバーに組み込まれるのは10月以降を想定する。三菱電機はデータセンター(DC)向けEMLで市場シェアを約50%占める最大手に位置する。
生成AIの需要の急拡大により、一般のサーバーより計算能力と処理速度を大幅に高めたAIサーバーの需要も増大している。AIサーバー向けでも高い市場シェアを維持し、存在感を高めていく。
三菱電機のEMLは、波長安定性の高い分布帰還型(DFB)レーザーと、光信号を生成する電界吸収型光変調器(EAM)を集積し、一つのチップとしたデバイス。伝送速度が25ギガ―50ギガbpsのDFBレーザーだけと比べ、高速・長距離伝送が可能になる。結晶成長や成膜、エッチングなどを数百工程繰り返して製造するなど、「製造プロセスでさまざまな工夫をしている」(同社)のが強みだ。
現在、EMLの伝送速度は100ギガbpsが主流とされる。三菱電機は次世代の200ギガbpsのほか、さらに次の世代の400ギガbpsのEMLの開発も視野に入れている。
日刊工業新聞 2024年4月4日