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12コア光ファイバーで7280km伝送、NECとNTTが世界初の実験成功

12コア光ファイバーで7280km伝送、NECとNTTが世界初の実験成功

シングルコアファイバー(左)と12コア結合型マルチコアファイバーの断面(NEC提供)

NECNTTは21日、標準的な外径0・125ミリメートルの光ファイバーに光信号の伝送路を12本設けた12コア結合型マルチコアファイバーを用い、大洋横断級の7280キロメートルの伝送実験に世界で初めて成功したと発表した。光ファイバーのコア数を増やすことで、ケーブルの本数を増やさずに大容量化が可能となる。光海底ケーブルなどの大容量化を実現する次世代技術として期待される。

NECとNTTがそれぞれ開発した技術を組み合わせて実現した。実験では光多重伝送の送信・受信機間を52キロメートルの光ファイバーで結び、7000キロメートル以上に及ぶ距離をループさせて信号を伝送した。

NECは長距離伝送に対応したアルゴリズム(計算手順)を開発。MIMO(多入力多出力)技術を用いて、「12コア×2偏波」による送受信を行い、高速な受信信号を正確に分離・復調できることを実証した。NTTは信号の遅延と損失の不均一性の影響を低減可能な結合型マルチコアファイバーと入出力デバイスの設計、長距離用光伝送路設計の評価技術を開発した。

既存の光海底ケーブルは1本のファイバー内に光伝送路を1本設けたシングルコアファイバーが用いられている。マルチコアファイバーは大容量化を実現する技術として世界中で研究開発が進められているが、コアを増やすと光信号が干渉して混信し、特に長距離の伝送では多重光信号間の伝搬遅延や不均一性などが課題となる。

両社は研究開発を推し進め、NTTが掲げる次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」をはじめ、大容量光伝送基盤の実現に向けて長距離大容量の光海底ケーブルと陸上コアネットワーク(基幹通信網)の実用化を目指す。

日刊工業新聞 2024年03月22日

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