顔認証で利便性高める。TOPPANエッジが勤怠・クレカ決済など連携
TOPPANエッジ(東京都港区、添田秀樹社長)は、顔認証事業を強化する。顔写真を軸に個人を認証する企業向けクラウド型プラットフォーム(基盤)「CloakOne(クロークワン)」で27日からID管理など三つのサービスを追加するほか、2024年度にクレジットカードなどの決済との連携を予定。出退勤や決済時の顔認証活用で利便性や機密性が向上する点を訴求する。クロークワンシリーズで28年度までに累計25億円の売り上げを目指す。
クロークワンは従業員各自がスマートフォンで撮った顔写真をIDカードや顔認証に活用する。顔写真は人工知能(AI)が自動で品質チェックを行い、人事総務部門の業務負荷を軽減する。
入退室や勤怠管理などオフィスの多様な場面で利便性やセキュリティーに優れる顔認証を使える。複数の顔認証エンジンを採用しており、認証精度やスピードの高さが特徴だ。
27日にIDカードをTOPPANエッジが受託発行したり、顧客が自社で発行できる環境を提供したりする「クロークワンカード」、スマホに社員証などのIDカード券面の内容や2次元コード(QRコード)を表示できる「クロークワンモバイル」を提供開始する。また同日、企業が持つ従業員情報を勤怠管理システムなどに自動で応用プログラムインターフェース(API)連携する「クロークワンマネジメント」の展開も始める。
クロークワンは従業員情報の連携機能と顔認証やカード、スマホの管理機能を持ち、企業内で業務システム連携の中核を担う。添田社長は「APIで他社のシステムと連携しやすい。企業内での活用に限定することで個人情報の管理も堅固にできる」と語る。
インタビュー/大学のDXニーズ対応
添田社長に顔認証事業の戦略などを聞いた。(熊川京花)
―23年7月から同事業に参入した理由は。
「IDカードに限らずクレジットカードなども製造しているが、昨今はスマホに機能が移行している。カードはなくならないが、ボリュームは増えないだろう。社員の認証というカードが持つ本来の機能をデジタルで実現しようと考えた」―企業向けに焦点を置いていますが、活用場面は多そうです。
「自治体など団体の働き方を支援したいのはもちろん、大学はデジタル変革(DX)のニーズが非常に高い。入学試験の出願受け付けから顔写真は活用される。授業の出欠席、図書館の入館処理など、大学内で認証の場面は数多くある。クロークワンでひと続きに提供したい」
―今後の展開は。
「3月末から当社でクレジットカード決済と顔認証をひも付けた購買の実証実験を行い、24年度中の提供開始を目指す。また25年度以降には工場を対象に、作業品質や資格、人材育成の観点から誰がどの作業を行ったかという人の管理、当社が製造している無線識別(RFID)タグを活用したモノの管理をクラウド上で組み合わせて新たな価値を生むことを検討中だ」
【関連記事】 半導体パッケージ基板で存在感を増す印刷会社