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役員報酬にESG反映、IHIが狙う職場環境改善の効果

IHIは2025年3月期から役員報酬制度に環境・社会・企業統治(ESG)の要素を反映して運用を始める。24年3月期の下期から試験運用しており、本格導入を決めた。従業員のIHIへのエンゲージメント(結びつき)向上といったESGに関する取り組みを役員報酬の評価項目に加える。具体的な運用方法は今後固める。執行役員の意識改革や社内への浸透を通じて、ESGを軸に置いた経営をより強く推進する。

※自社作成

井手博社長と執行役員との間で取り決める評価項目の一つに、24年3月期下期からESGの要素を試験的に加えた。具体的には、S(社会)に該当する社内向けの施策として「職場環境の改善」を評価項目に定め、各執行役員が担当の部門で達成に向け取り組んだ。

例えば人事部では、従業員のIHIへのエンゲージメントを高めることを目指し、若手がベテランにITなどを教えるという通常と反対の機会を設け、話し合う場を設定。従業員の心理的安全性を高める効果を狙った。

こうした各執行役員の取り組みや成果を評価し、ESGの要素として役員報酬に試験的に反映させる。

25年3月期も「職場環境の改善」を評価項目として続けることを前提に、本格的に取り組む。半期ごとに内容を見直すことも想定する。具体的な取り組み内容に数値目標を定める場合でも、数値ありきではなく、取り組み内容がもたらす効果を重視する。

IHIは26年3月期までの中期経営計画で、ESG経営の一層の推進を掲げている。

日刊工業新聞 2024年03月07日

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