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快速運行・延伸も計画…「宇都宮LRT」開業半年の今

快速運行・延伸も計画…「宇都宮LRT」開業半年の今

利用者数が安定しているライトライン

宇都宮市―栃木県芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)路線「ライトライン」の開業から半年が経過した。利用者数は安定して推移し、運行会社の宇都宮ライトレール(宇都宮市、高井徹社長)は4月から快速運行を開始、さらに利便性向上を図る。市はJR宇都宮駅西側への延伸計画を具体化する傍ら、少子高齢化時代の「ネットワーク型コンパクトシティ(NCC)」実現を念頭に置いて利用促進策を推進する。(宇都宮・辻本亮平)

ライトラインの平日の利用者は1日1万2000―3000人程度で推移。2023年11月15日には利用者が累計100万人を、24年2月3日は200万人を突破した。宇都宮市の佐藤栄一市長は「定時性や快適性などLRTの特徴が発揮された」と分析。宇都宮ライトレールは4月にダイヤを改正し、通勤・通学客で混み合う時間帯の下り線で計2本の快速運行を始め、サービスをさらに強化する。通勤・通学客向けの増便や、所要時間の短縮も予定する。

土日・祝日の利用者数は当初需要予測を大幅に上回るが、徐々に落ち着きもみられる。佐藤市長は「(沿線の)『飛山城』へのアクセス性を高めるなど安定利用を目指す」としている。停留場近くで「東部総合公園」の建設も予定し、利用の呼び水としたい考えだ。

JR宇都宮駅西側ではライトライン延伸計画が具体化しつつある。2月の議員協議会で、市はJR宇都宮駅から県教育会館まで約5キロメートルの整備区間と、12カ所の停留場配置イメージを発表した。整備区間から先の「大谷資料館」など観光地までのルートは「検討区間」とした。駅東西はJR線路を横断し接続する。2030年代前半の開業を目指す。

ライトライン開業は高齢者も公共交通で移動できるNCC形成が狙い。市は市内小学生への交通系ICカード「totra(トトラ)」無料配布や、バスとの乗り継ぎ通学定期券への購入支援など、利用促進策を予定する。念頭にあるのは「子どもの頃から公共交通の利用を覚えてもらう」(佐藤市長)こと。公共交通を根付かせるため長期的視点で工夫を続ける。

【用語】宇都宮ライトライン=23年8月に開業した第三セクターの宇都宮ライトレールが運営するLRT路線。国内の路面電車の開業は75年ぶりで、全路線を新設したLRTは全国初。宇都宮駅東口―芳賀・高根沢工業団地間の14・6キロメートルを約50分で結ぶ。車両はIHIグループの新潟トランシス(新潟県聖籠町)が設計・製造した。
日刊工業新聞 2024年02月27日

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