リチウムイオン電池用電解液、生産4割増…三菱ケミカルGが中国勢を追撃する
インド、技術供与先が26年量産体制
三菱ケミカルグループは国内外でリチウムイオン電池(LiB)用電解液の生産能力を増強する。英国、日本、米国で増産投資を実施し、2024年度をめどにグローバルでの生産能力を現状比約40%増の年間9万トン程度に引き上げる。また26年にもインドの技術供与先で同電解液の量産を始める。世界的な電気自動車(EV)シフトをにらみ、増産や技術供与を通じて各地域の供給体制を強化し、先行する中国勢を追撃する。
英国では5月をめどに生産能力を同40%増の年間1万4000トンに引き上げる予定。一方、三菱ケミカル子会社のMUアイオニックソリューションズ(東京都千代田区)は今秋に四日市工場(三重県四日市市)で同25%増の同2万トンに拡大。米国では12月に同約2倍の同3万6000トンに増強する計画。中国を含め、グローバル生産体制を強化する。
インドでは、MUアイオニックソリューションズが同国の化学メーカー「ネオジェン・ケミカルズ」(マハラシュトラ州)と電解液のライセンス供与に関する契約を締結。現地では環境負荷軽減の観点からEVシフトが推進されており、ネオジェンに製造プロセスを含めてライセンスを供与する。26年にもインドにおける電解液の量産体制を整備する計画だ。電解液製造の一式ライセンス供与としては、第1号の案件になる見通し。
このほか三菱ケミカルグループは米コウラ(マサチューセッツ州)と、北米における電解液のサプライチェーン(供給網)強化に向けた協業も検討する。コウラは米国で電解液原料の製造に取り組む計画があり、相乗効果を創出できる施策を模索する。
三菱ケミカルグループの電解液の世界シェアは足元で8%程度とされ、25年に25%に引き上げる目標を掲げる。一方、中国メーカーなど海外勢の攻勢も激しさを増しており、自社工場の増産に加えてライセンス供与や生産委託など幅広く対応し市場を深耕する。
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