19ー36mmの厚板切断…三菱電機が刷新、「大型レーザー加工機」に搭載した技術
AIで加工速度も自動調整
三菱電機は鋼材業向けのレーザー加工機市場を深耕する。同業向け2次元ファイバーレーザー加工機の大型機種「XL―Fシリーズ」を刷新し、新シリーズとして2024年4月以降に市場投入する。最新の厚板切断技術に加え、ファイバーレーザー加工機の旗艦機種で好評の制御技術なども搭載し、厚板切断性能や安定加工を実現する機種として訴求。従来、プラズマやガス溶断で行っていた厚さ19ミリ―36ミリメートルの板材の切断加工のレーザーへの置き換えを狙う。(浜松支局長・本荘昌宏)
新シリーズは、出力が従来シリーズの6キロ、8キロワットに加え、新たに10キロ、12キロワットもそろえる。ストロークはX軸6620ミリ×Y軸3315ミリメートルで、長さ6200ミリ×幅3050ミリメートルの加工対象物(ワーク)に対応する。年30台程度の販売を目指す。
厚板切断技術「Mz―Power」を採用。熱の影響を抑えて加工が安定するため、1枚の板に複数の製品を配置する「ネスティング」の際の隙間を従来よりも小さくでき、製品の配置数が増えることで歩留まり向上が見込める。
またファイバーレーザー加工機の旗艦機種「GX―Fシリーズ」で培った最新の制御装置をはじめ、稼働中の光や音を検知して加工速度を自動調整する人工知能(AI)機能「AIアシスト2・0」や、窒素切断と同等の加工速度を実現しつつ高品質の加工が可能となる新切断方式「AGR―Mix」も提供する。
ユーザーからGX―Fシリーズの最新機能への評価は高く、「大型機への搭載を要望する声が数多く寄せられていた」(川田明宏メカトロ事業推進部長)という。同シリーズは購入済みの製品に後付けできる新技術を毎年発表する方針を打ち出しているが、大型機の新シリーズでも対応する。
また、フルカバーと新たな集塵機構で工場環境をクリーンに保てるほか、「複数枚シート検知機能」により段取り性が向上し、停止時間が少なく生産性を高められる。
川田部長は新製品投入について「鋼材業が抱える人手不足や作業環境の課題に解決案を提示したい」と狙いを話す。今後、さらに大型な機種の開発も進める方針だ。
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