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「H3」打ち上げ成功、JAXAは「選ばれるロケット」を育成できるか

「H3」打ち上げ成功、JAXAは「選ばれるロケット」を育成できるか

インタビューに答えるJAXAの岡田プロジェクトマネージャ。「日本の得意技術を生かす」と意気込む

機体の汎用性強みに

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発した大型基幹ロケット「H3」試験機2号機が打ち上げに成功した。同1号機の失敗から約1年間かけて原因究明と対策を講じ、2号機の成功とともに本格運用へ弾みを付けた。H3という新たな宇宙輸送技術を確立したが、より汎用性を持たせるために技術を育てる必要がある。国内外のユーザーに選ばれるロケットのカタチを作り、国際競争力の強化につなげる。(飯田真美子)

H3の特徴は打ち上げ時の振動の少なさや時間通りの打ち上げ以外に、搭載する積み荷に応じてロケットをカスタマイズできることだ。衛星の重さや個数、投入する軌道などによってメーンエンジン・補助推進機構の個数や積み荷を搭載する先端のフェアリングの大きさを変えられる。JAXAの岡田匡史H3プロジェクトマネージャは「今回とは違うパターンも確実に運用する。H3を特別な乗り物にしたくない。日本の得意な技術を生かし、良いシステムを作りたい」と意気込む。

ユーザーに応じた機体のカスタマイズは海外でも見られるが、特にH3は種類が豊富だという。大阪産業大学の田原弘一教授は「メーンエンジンの個数やフェアリングの大きさを変えられるのは日本の強み」と強調する。月に向けて物資を輸送できるようH3をカスタマイズした機体は米主導の国際月探査計画「アルテミス計画」への活用も見込まれ、H3を持つことで世界の宇宙開発の中でも存在感を示せる。

H3の開発には多くの日本企業が協力している。高品位の5軸加工でH3部品を試作・量産する大槇精機(埼玉県朝霞市)の大町亮介社長は「打ち上げ回数が増加すれば部品の受注が増え、売り上げのプラスになる」と見通す。H3は産業界の宇宙ビジネスの一角を背負っている。岡田プロマネは「困難の渦中をともにした企業や1号機の失敗で部品生産などをお待たせしている企業など、いろいろな形で企業が関わっている。1社ずつ感謝の気持ちを伝えるつもりだ」とした。

日刊工業新聞 2024年02月19日

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