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プレス機械で生産現場の脱炭素化に貢献 ―モノづくりを支える設計開発力

理工系×企業ジョブマッチング/吉野機械製作所
記者の目/ここに注目
□新しいことへの挑戦を奨励する社風
□若手が前線で活躍できる

吉野機械製作所は、プレスブレーキやパネルベンダーなどの自動機械、これらの機械を組み込んだ省力化ラインを手がける。1948年に工業高校の一室で創業し、2023年に75周年を迎えた。高い設計開発力により独自製品を世に送り出し、存在感を示している。

サーボ駆動式、消費電力削減

主力のACサーボ駆動式プレスブレーキ「YSP」シリーズは、従来の油圧式に比べて消費電力を4分の1に削減できる。完全電気駆動で油を使わないため環境負荷が低く、メンテナンスが簡単で扱いやすい。生産現場の脱炭素化につながる。

国内外の大手工作機械メーカーもサーボ駆動式のプレスブレーキを展開しているが、大型機では油圧式が主流。YSPシリーズは曲げ長さ6メートル、加圧能力400トンを実現し、サーボ駆動式としては世界最大級だという。

独自の金型交換装置により段取り替え時間を短縮。複雑な曲げ加工や少量多品種生産に向く。窓枠やドア枠、トラックの架台などの生産に採用されている。発売から約10年間で累計70〜80台を販売した。

DX、働きやすい職場づくりに注力

同社は設立75周年の節目である23年、父で現会長の吉野有信氏からバトンを引き継ぎ、吉野友章氏が社長に就任した。新社長が注力するのはデジタル変革(DX)と社員が働きやすい環境づくりだ。

代表取締役 吉野 友章さん

会計や勤怠管理などの間接業務をデジタル化し、クラウド上に情報を集約した。また、紙図面を廃止し、作業者はパソコン上の3次元(3D)モデルを見ながら機械を組み立てる。設計部門と製造部門の円滑な情報共有に加え、「機械の知識があまりない若手でもプラモデル感覚で組み立てられる」(吉野社長)利点もある。20〜30代の若手に積極的に仕事を任せるという会社の方針もあり、主力のプレスブレーキの組立も若手が中心的役割を担っている。

社員教育にも注力する。全社員向けに英語学習アプリケーションを導入し、スマートフォン上で個人の習熟度に合わせて学習できる。このほか、週に1時間をデジタルに関する自主学習に充てる取り組みを24年度から始める。学習テーマは、エクセルを応用したB Iツールの活用法、RPA(ロボットによる業務自動化)、生成人工知能(A I)、ロボットの使い方など個人が設定し、主体的な学びを後押しする。

人事制度や働き方の改革も進める。23年に社長直轄組織として経営戦略室を設立し、業績の見える化を進めた結果、一人ひとりの生産性を把握しやすくなり、成果に応じた公平な人事評価につながっている。これにより社員のモチベーションが向上し、「トップダウンではなく、社員が自ら考え、改善に向けて行動できるようになってきた」という。また、生産性向上により残業時間を月平均で約20時間まで削減し、働きやすい職場づくりが進んでいる。

新製品開発にも余念がない。24年中にもCAMを応用したレスティーチングロボットシステムとプレスブレーキを組み合わせた完全自動曲げシステムを発売する予定。ティーチングペンダントによる教示が不要となり、教示にかかる時間やコストを削減できる。

プレスブレーキとロボットを組み合わせた
「レスティーチングロボットシステム」
23年開催のMF-TOKYOで新製品をPRした

「国内より海外の方がロボット化や脱炭素化への意識が高い」(吉野社長)と見て、欧州や中国、韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)などに同システムを売り込む。将来的には若年人口の多い東南アジアに拠点を設ける構想もある。

創業者の吉野通利氏は、国内で普及し始めていたプレス機械に着目して参入。2代目の吉野会長は設計開発、営業体制の強化によりプレス機械メーカーとして国内で一定の地位を築いた。3代目である吉野社長は「海外展開の強化が自身の使命だ」と語り、自ら挑戦する姿を見せることで社員の挑戦を促したい考えだ。

「仕事の自由度が高く、若いうちからさまざまなことに挑戦できる」と吉野社長。「何事も、その道のプロになるには情熱が必要。挑戦意識や上昇志向のある人材に入社してほしい」と話す。

理系出身の若手社員に聞く
若手に裁量、挑戦する姿勢に魅力

機械設計部 森永 聡一さん (2022年入社)

顧客の仕様に応じた専用ラインの設計を担当しています。顧客が求める仕様を実現するため、採用する機構を考えることもあり、設 計の自由度が高い点に面白さを感じます。担当した機械が組み立て られ、形になったときに達成感を覚えます。東京農工大学を卒業後、 農機メーカー、教育業界を経て、また機械設計の仕事がしたいと考 えて入社しました。若いうちから裁量を与えられること、挑戦する 姿勢に魅力を感じたことが入社の決め手でした。主力であるプレス 機械の設計に早く携われるよう技術を磨いていきます。

会社DATA
所在地  千葉市緑区大野台1-5-18
設立   1948年3月
代表者  代表取締役 吉野 友章
資本金  1500万円
従業員数 50人
事業内容 プレス機械、省力化ラインの設計、開発、製造
URL   https://yoshino-kikai.co.jp

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