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脱炭素社会に向け「ONE TADANO」で地域と地球に貢献 ―社員の個性や多様性を生かし最大限度のパフォーマンスを発揮

理工系×企業ジョブマッチング/タダノ
記者の目/ここに注目
□フル電動クレーンなど環境配慮製品で業界をリード
□自動制御によるクレーンの自動化や省人化などを研究
取締役執行役員常務 合田 洋之さん

建設用クレーンで国内トップメーカーのタダノ。「世の中のお役に立つものを創りたい」との思いから建設用クレーン、車両搭載型のカーゴクレーン、高所作業車などの製品を世に送り出している。日本、ドイツ、米国に生産拠点を持つタダノグループは近年「ONE TADANO」をスローガンに掲げて、青い地球を守ることを使命に脱炭素の実現に貢献するため「Tadano Green Solutions」に注力している。日本が目指す2050年カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた環境対応製品をいち早く市場投入し業界をリードする。

2023年12月には、世界初の25トンクラスのフル電動ラフテレーンクレーン(RT)の国内販売を始めた。1回の充電で最大11時間のクレーン作業、もしくは40キロメートルの距離を走行後に約5時間のクレーン作業を可能にする。北米市場では100トンクラスのRTの市場投入を予定している。洋上風力発電プロジェクトが各国で進む中、海外子会社で提供している世界最大級の3200トンのラチスブーム式クローラクレーンが使われており、脱炭素社会の実現に向け貢献している。

自発的に行動する集団

開発部門担当の合田洋之取締役執行役員常務は「未来の青い地球のため私たちはこれからも環境対応製品の開発に果敢に挑戦していく」と強調する。同社の開発やサービスなどの強みは明確だ。物事の創造の判断材料としてコンプライアンスを土台に、第一にセーフティー(安全)、第二にクオリティー(品質)への揺るぎない意識が根幹にある。

同社の理念を実現するためには『Want』、『Believe』、『Do』を実践することが重要な要素になる。こうすると決めたらそれを信じて絶対に解決する。「当社は人に言われるままのイエスマンではなく、自発的に行動する集団をつくる」と合田取締役は力説する。研究者、カスタマーサポート、営業など全ての職種に共通する。

一般に企業に入社後は大学での専攻を直接活かせるような仕事に就けないことが多い。このことは就活時点で研究・開発部門出身の人事担当者が学生に寄り添いていねいに説明する。たとえ専攻と異なる分野の仕事を担当することになったとしても、入社後に『Want』などの論理的思考力を身に付けていれば何でもしっかりやっていけるという。

ジョブチャレンジや社内FA制度を導入

同社は男女問わず、やる気や能力のある人が活躍できる会社を目指している。多様な社員が能力を発揮する社内環境を整備。これにより仕事の満足度が高い社員が増えると同時に女性の活躍も目立ち始めている。

2023年12月から国内販売する25トンクラスのフル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT eGR—250N」
社内では部門を越えてのスポーツ交流イベントも開催

男性社会のイメージが強いクレーン業界を変えようとする同社は、全社員に占める女性の割合を2026年度末までに10%に引き上げる考えだ。その中で例えば若手女性研究者の一人は「ジョブチャレンジ制度」に応募し、2023年から「欧州リサーチセンター」に赴任し、現在はドイツで生き生きと仕事をしている。同制度は社員に活躍の場を提供するものだが、もし選考に漏れてもしっかり応募者をフォローし、何度でも再チャレンジが可能だ。

2023年4月からは「社内FA(フリーエージェント)制度」を導入。プロ野球界のFA制度と同じイメージで人事異動の権利を本人が取得すると、現在所属の上司に相談しなくても希望の職場を表明できる。一方、上司は誠実に部下に対応しなければ次々に部下が離れ管理能力が問われる。合田取締役は「社員はせっかく縁があり当社に入社した。会社は社員のベストパフォーマンスのため何ができるかを一番に考えている」と語る。

タダノグループは2024年度から新中期3カ年経営計画が始める。中身の一部は将来を担う全世界の若手従業員の声を反映したという。こうして社員一人ひとりが共通の目標を持って行動し世界に、未来に誇れる企業へと成長することを目指している。

理系出身の若手社員に聞く
電気系など幅広い分野の研究者の活躍の場がある

技術研究所 知覚創造ユニット 原田 美森さん(2019年入社)

香川県外の大学で電気情報物理工学を学び、大学院進学も検討していましたが超伝導の研究が一段落し、地元企業で働きたいと思い就活に取り組みました。国内留学制度もあるタダノが真っ先に浮かびました。機械系の研究者が多い印象ですが制御・情報・電気系の人材も活躍しています。私は、研究所が数十年後を視野にクレーンの自動化や省人化の自動制御を研究するなか、入社以来知覚創造ユニットに所属しています。カメラやセンサを用いてクレーンの周囲環境を検知し、作業の安全性を追求するような研究を行っています。研究は長期にわたりますが、年4回開催され、社長や役員も出席する研究テーマの社内発表会では自身の成長を見せられたり、前向きな言葉をかけられたりするとモチベーションが上がります。

会社DATA
所在地  (本社)香川県高松市新田町甲34
     (技術研究所)香川県高松市林町2217-13
設立    1948年8月24日
代表者   代表取締役社長・CEO 氏家 俊明
資本金   130億2156万8461円
従業員数 (連結)4651人(2022年12月31日現在)
事業内容  建設用クレーン、車両搭載型クレーンおよび高所作業車等の製造販売
URL    https://www.tadano.co.jp/

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