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世界5極事業体制で小型モーターを生産 —「枠」のない、発想と希望にあふれる職場

理工系×企業ジョブマッチング/マブチモーター
記者の目/ここに注目
□ここに注目幅広い業務経験によりマルチなエンジニアとして活躍
□技術系も事務系も1年目から海外研修でスキルアップ

世界初の高性能馬蹄型マグネットモーターの開発を起点に、小型モーターを多くの分野へ送り出しているマブチモーター。年間約13億個を生産し、うちドアロックなど自動車電装機器用は約75%、電動歯ブラシなどのライフ・インダストリー機器用が約25%を占める。国内含め17カ所に生産拠点があるが、ほぼ全製品を海外拠点で生産している。その17拠点を、「日本」「ASEAN」「中国」「欧州」「米州」と5極に分け、各極の工場で部品生産からモーターの組立てまでを一貫して行う。「リスクヘッジに加え、地産地消も目指しており、輸送コストやCO 2排出量の削減にもつながる」と取締役 執行役員 技術統括の宮嶋和明氏は話す。

内製による技術力が強み

取締役 執行役員 技術統括 宮嶋 和明さん

体制面では、「3つの軸による自社対応が強み」(宮嶋氏)だ。1つめは前出の各工場で部品生産からモーターの組立てまでを行うという軸、2つめはその部品の金型や生産設備の設計から製造までを自社で行う軸、3つめは製品の生産工程を自社で設計するという軸である。これらの軸を社内に有することで、例えば「静かなモーター」を開発する場合、どうすれば迅速かつ的確に実現できるかがすぐわかり、「品質、コスト面で最適な解を導くことが可能」だという。

技術面での強みは、第一に“標準化戦略”のもとで開発していること。同じモーターを自動車電装機器用にもライフ・インダストリー機器用にも使用できるようにすることで、競争力の高い価格による安定的な供給が可能になり、かつ生産工程も標準化することで高品質を維持できる。第二に「小型・軽量」を実現するノウハウを豊富に有していること。モーターが小型・軽量化できれば、それを組み込んだユニットも小型化でき、そのユニットを搭載する最終製品の小型・軽量化につながる。第三はモーターの制御技術を自社で保有していること。「他社ではそのソフト部分を外注化しているケースもあるが、当社は自社で開発しているのが強みであり、今後さらに強化する予定」(宮嶋氏)

近年は静かで長寿命が特徴のブラシレスモーターにも注力し、関連する技術の研究を強化している。

主要製品ラインナップ

幹部自身が「楽しい仕事」を追求

「何より楽しい仕事ができる」と、宮嶋氏は自身のこれまでを織り交ぜながら、自社の魅力を笑顔で語る。楽しく仕事ができるのは、「枠がない」からだ。

「枠がないと自由な発想が生まれる。組織の枠も超えて、さまざまな仕事を経験することもできる。もちろん、ある分野を深掘りしたければそれも可能」と宮嶋氏がいうように、「希望すれば配属や担当業務の変更を前向きに検討してくれる土壌があること」も、仕事を楽しくする要因の1つだ。年1回実施している自己申告制度では、部門やエリアを飛び越えた希望も出るが、「視野を広げるためには必要」と極力希望に添うようにしている。

「現在の経営幹部自身が枠を飛び越えて楽しく仕事をしてきたから、どうすれば仕事が楽しくなるのかわかっているのも当社の特徴。仕事を本気で楽しもうと思っている人、自分から行動する人にはぴったりで、特にエンジニアには最高のフィールド」(宮嶋氏)

生産拠点がほぼ海外のため、入社1年目で技術系は5週間、事務系は1週間の海外研修を行うなど、育成制度の充実度も高い。中でも目を引くのがe-ラーニングシステムだ。専門性のある社員が講師となり、「機械加工」などさまざな技術を解説する動画講座で、社員はいつでも視聴できる。また、社員の視座を高めるための経営幹部や社外講師による公開講座「カタリスト塾」も好評だ。

「これからも技術面の向上はもちろん、『マブチモーターではエンジニアが輝いている』といわれる会社にしていきたい」と宮嶋氏は抱負を語る。

若手社員に聞く
若くして海外での業務経験が可能

第二生産技術部 山沢 弘人さん(2019年入社)

ベトナムの工場を担当し、現地スタッフとともに収益性改善や生産性向上に取り組んでいます。現地に1年間駐在し、新設備を導入して省人化を実現しました。当社を選んだのは、若手でも海外経験ができるからです。COV ID-19の影響で3年間渡航できませんでしたが、その分、本社内で実務経験を重ね、初任地のベトナムで成果を上げられたと思っています。より成果を上げるためにも、次回は3年程度駐在したいです。





性別・年齢関係なくスキルを磨ける

第二ブラシレスモーター開発部
海瀬 可南子さん(2022年入社)

小さい頃からものづくりが好きで、機械の開発に携わりたいと考えていました。自動化が進む中、ものを動かす要となるモーターを開発したくて当社に入社しました。現在、自動車電装機器用のブラシレスモーターの開発をしています。やりがいを実感するのは、チームで検討した製品が採用されたときや、課題解決できたときです。自分が開発に携わった製品によって、人びとの暮らしの充実度が向上することが夢です。技術系の女性社員も増えてきており、性別や年齢を問われない仕事のしやすさに満足しています。

会社DATA
所在地  千葉県松戸市松飛台430
設立   1954年1月18日
代表者  代表取締役社長 COO 谷口 真一
資本金  207億481万円
従業員数 単体:827人、グループ:20248人(2022年12月末日現在)
事業内容 小型モーターの製造販売
URL    https://www.mabuchi-motor.co.jp/

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