合成繊維・炭素繊維関連を中心とする機械メーカー、空気加工機で世界シェア7割超―世界に顧客を広げるグローバル企業
記者の目/ここに注目
□前例がない、唯一無二の機械づくりを実践
□若手が発言しやすい、仕事を任せてもらえる
AIKIリオテックは合成繊維の加工を中心とする繊維機械を設計、製作し、アジア、欧米など各国に顧客を持つ。ナイロン、ポリエステルなど合成繊維に圧縮空気や熱を加えて、さまざまな風合いの糸を製造する空気加工機では世界シェア7割を超える。ニッチ分野で高い世界シェアを持つ中堅・中小企業を選定する経済産業省「グローバルニッチトップ企業100社」に選ばれるなど「AIKIブランド」に対する世界市場での評価、信頼は高い。世界トップレベルの技術力に注目した大学、企業などから樹脂材料の試験、研究に用いる試作装置製作の依頼も多く寄せられ、先進の材料研究に貢献している。
主力製品の空気加工機は1980年代に国内メーカーとして初めて製品化した。海外進出を始めた90年代に各国から引き合いが増加。機械メーカーとしての地位とA IKIブランドを確立した。ATYとよばれる空気加工機で作る糸の世界標準化にも貢献した。
また、繊維生産技術を転用し炭素繊維製造ライン設備や炭素繊維を使用したプリプレグシート製造装置を開発。日本のロケット開発製造にも寄与している。
技術で日本を強くしたい
松本一社長は「日本の(先端材料関連の)技術者を助け、技術の発展に貢献したい」とモノづくりに対する思いを表現する。試験、研究向けとして試作装置を手がけるのも「技術で日本を強くしたい」という気持ちの表れだ。
研究開発用途を意識した試作装置「パイロットマシンシリーズ」は超小型単軸押出機、インフレーション成形ユニット、Tダイ式フィルム成形ユニットなどをラインアップする。大学や企業の研究者、開発者と直に話しながらニーズを把握し、課題解決に向けて顧客と気持ちを一つにして作り上げた製品群だ。
例えば、機能性樹脂材料の研究開発に適した2軸混錬ペレット製造試験装置は、少量の材料でリサイクル樹脂の最適配合などの試作ができる。技術革新の加速に伴い、多種多様な材料が求められる中、同社の技術力に注目し、試作装置の開発領域は繊維関連にとどまらず、食品、環境、航空宇宙などにも広がっている。
前例がない、唯一無二の機械、装置の開発に取り組むケースも少なくないため、開発、製造など各工程の担当者は、自主的に課題を見つけ、深掘りする姿勢が大切だ。理工系学生に対する印象として、松本社長は「実験の方法をよく知っており、理論的に物事を考えることができる」と期待する。
技術、製造、営業が連携しながら全員参加で顧客の要望に応える機械、装置を作り込む。そのため、各工程の担当者は営業から開発、部品加工、設置、メンテナンスまでの一連の工程に幅広く携われることが特徴だ。先輩社員との関わりの中から学べることも多く、若手社員から〝発言しやすい〟〝仕事を任せてもらえる〟という声が聞かれる。松本社長は「自ら学ぼうという意欲を存分に発揮してほしい」と話す。
若手社員に聞く
チャレンジすることを恐れずに
NC旋盤、マシニングセンタのオペレーターとしてプログラム作成、段取り、加工を担当しています。MCは興味があったことから、入社後にプログラミングを勉強して習得しました。昨年、機械加工の技能検定「特級」に合格することができました。職場の後輩の指導にも当たっており、技能検定合格を目指して共にがんばっています。少しでも興味を持てそうなことがあれば、チャレンジすることを恐れずに、一歩踏み出してみることが大切だと思います。
学べる機会が多く強みに
機械組み立てグループに所属しています。客先に出向いて機械を据え付ける業務が中心ですが、お客さまに作業指導を行うこともあります。当社の繊維機械は大型のものが多いですが、小型なら自分が中心になって作業することが増えてきました。設計から加工、据え付けまで幅広く関わることができ、設計や電気など自分の担当業務以外のことを学べる機会が多いことは強みになると思います。今は製図、CADの勉強を始めています。将来は海外出張も経験してみたいですね。
会社DATA
所在地 愛知県稲沢市井之口小番戸町39
創業 1976年4月
代表者 代表取締役社長 松本 一
資本金 3000万円
従業員数 60人
事業内容 合成繊維・炭素繊維用機械及び研究開発向け試作装置の設計、製造、販売
URL http://www.aiki-japan.com/