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災害関連死防ぐ…国交省が提案「二地域居住」が避難先の仕組みとして期待される背景

一極集中を排し地方への人の流れを拡大するための二地域居住の政策が、災害時の避難先の仕組みとしても期待されている。国土交通省が2023年12月に出した「移住・二地域居住等促進専門委員会」の中間とりまとめで、二地域居住先が2次避難先になり得るとの考えが示された。19日の委員会でも災害対策に期待する意見が出た。平時からよく知った地域に避難できれば、心の安心感も確保できる。

大災害時には命を守るための緊急避難場所への1次避難に加え、その後の生活を確保する2次避難のあり方も課題となる。震災や津波から命が助かっても、その後に体調を崩して亡くなる災害関連死をいかに防ぐかが重要だ。能登半島地震では、大きな被害を受けた石川県珠洲市や能登町の中学生を集団で金沢市に避難させるなどの動きもある。

今回の中間取りまとめで示されたのは、災害時に二地域居住先が円滑な避難先となることに加え、関わりを持つ地域が被災した際に積極的に支援するなど支え合う関係構築が期待できる点だ。支え合いや二地域居住の受け入れを進める自治体の仕組みづくり、情報発信も重要と指摘する。

地方への人の流れには、旅行などをきっかけに関わりのある地域をつくり(関係人口)、その後の定期的な訪問や一定期間居住する二地域居住のスタイルを経て、最終的には移住という選択がある。受け入れ側は住宅や仕事、コミュニティーを整備し、新たな発想や刺激による地域おこしを期待する。災害時にこうした人間関係や役割がある地域に避難できれば、その後の生活再建のあり方も変わる可能性がある。

すでに関係人口づくりと避難者の受け入れを制度化している自治体もある。鳥取県智頭町は2011年から「疎開保険」を設け、災害時に民泊で7日間受け入れる。関東や関西の約120人が契約、保険料は年1万円(1人)から2万円(4人まで)だが、疎開体験ツアーで来町したり疎開の必要がない年は特産品を届けたりするなどの関係を築いている。「継続してくれる人が多く、保険をきっかけに一人が移住した」(企画課の大空ゆかりさん)と目に見える成果も出ている。

日刊工業新聞 2024年01月24日

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