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東証が株価意識の経営要請、上場企業の改革につながるか

東京証券取引所が3月末、プライム・スタンダード上場の約3300社に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請した。上場企業は現状分析を基に改善に向けた計画を策定、開示し、投資家との積極的な対話の実施が求められる。東証は対応状況を開示している企業の一覧表を2024年1月15日から公表する予定だ。上場企業の改革の動きにつなげられるかに国内外の投資家が注目している。

東証は7月14日時点のコーポレート・ガバナンス報告書の内容に基づき開示状況を集計した。それによると、プライムの31%、スタンダードの14%で検討中も含めた取り組み内容の記載があった。

株価純資産倍率(PBR)を基に開示状況をみると、PBRが低い企業ほど開示が進展している傾向が出た。PBR0・5倍未満の企業の46%が開示に対し、同2倍以上の企業は19%と開きがある。業種別には平均PBRが低い銀行で開示率が高く、平均PBRが高い情報・通信業、サービス業の開示率が低い。

この結果を受けて国内外の投資家からは「PBR1倍を超えていれば要請への対応は不要という誤解が生じている」との指摘が寄せられた。そのため、東証は開示している企業の一覧表を公表することで積極的な開示を改めて求める方針だ。

「株価や資本コストを意識した経営」に具体的にどう取り組むのかが分からない企業も多い。東証は投資家の高い支持が得られた取り組みの事例をまとめ24年1月をめどに公表する。他社の事例を参考にしてもらう考え。

東証の要請について海外投資家を中心に「日本企業の姿勢に変化が生じている」と評価する声が多い。「株価は市場が決めるもの」と距離を置く経営者の意識を根底から変える取り組みだからだ。ただ規則上の義務付けではなく、「どれほど実効性があるか」との声もある。企業の持続的な成長を促すサイクルをどう回していくか。中身が問われる。

日刊工業新聞 2023年12月26日

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