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フル電動ダンプトラック、日立建機が開発加速へ銅・金鉱山で実証

24年半ばにザンビアで
フル電動ダンプトラック、日立建機が開発加速へ銅・金鉱山で実証

ザンビアの鉱山で実証を計画する。鉱山現場で稼働する電動ダンプ(イメージ)

日立建機は2024年度に電動建設機械の研究開発を加速する。スイスのABBと共同開発してきた架線充電式のフル電動ダンプトラックの実証実験を、24年半ばにザンビアの銅・金鉱山で始める。実環境でのデータを収集・活用して電動建機の早期実装や発売につなげる。またショベルについては2トン級のミニショベルを欧州で発売するほか、いすゞ自動車伊藤忠商事、九州電力などと5月に開設する研究拠点をフル活用する。

電動ダンプトラックとショベルで対応が異なるのは、電動建機の稼働に不可欠な充電インフラ整備の進み具合で差があるため。先崎正文社長は「電動建機はすぐにでもできるが、充電インフラがないと実際の稼働には役立たない」と捉える。

ショベル向け充電施設の設置には、建設現場に何本も電線をはわせる作業が必要となる。この点、鉱山現場は鉱山会社の理解が進んでおり、太陽光発電やトロリー架線などインフラ整備も進む。

ザンビアの実証では、ダンプにディーゼルエンジンの代わりに蓄電装置やコンバーターを搭載してフル電動で走行。電力をパンタグラフで架線から取り込むと同時に蓄電池に充電、下り坂走行時はブレーキの回生エネルギーで蓄電池に充電して電気代削減につなげる。超大型ダンプ数十台の走行電力は「年間で数億円規模になるため、鉱山会社にとって魅力は大きい」(先崎社長)と見る。

電動ショベルは、これまで発売した13トンまでの機種や追加発売する2トン機種などを建設現場で使う場合の充電対策の有効性について、千葉県市川市で5月に開設する研究拠点で検証する。可搬式充電設備の販売で提携するオランダ・アルフェンや、九州電力の知見も生かす。


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日刊工業新聞 2023年12月19日

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