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コマツ・日立建機・コベルコ建機…電動ショベルの開発競争、「充電設備」がカギ握る

コマツ・日立建機・コベルコ建機…電動ショベルの開発競争、「充電設備」がカギ握る

アルフェンの可搬式充電設備から給電する日立建機の電動ショベル

欧で先行、市場開拓

大手建設機械メーカーが電動ショベルの開発と並行して、可搬式充電設備の供給問題解決への取り組みを始めた。建機は消費電力が大きく、大型の充電設備が必要になる。一方で建機は作業終了後に別の現場に移動するため、大がかりな充電設備をその都度設置することは非効率。建機の電動化を広げる意味でも、各社の動向が注目される。(編集委員・嶋田歩)

「電動ショベルが現場で稼働できるには急速充電設備などのインフラ整備が不可欠だ」。日立建機の先崎正文社長は、電動ショベルの普及を見据えた充電体制確立の重要性を指摘する。

日立建機はオランダのアルフェンと、欧州での可搬式充電設備で協業する覚書を結んだ。日立建機の販売網を通じて欧州の顧客にアルフェンの充電設備を販売・レンタルし、その際の債務保証や支払い手続きのファイナンス面を伊藤忠商事が支援する。アルフェンの設備は10フィートコンテナ大なので欧州では車で移送でき、満充電で13トン電動ショベル2回分の充電が可能という。

欧州と並んで、国内では九州電力と電力供給設備などの開発で協業する。九電の産業機械向けリチウムイオン電池(LiB)パックを使った可搬式充電設備の共同開発に24年から着手する。電動ショベルだけでなく、建設現場で用いられる電動機器や照明機材など幅広い設備に対応し、建設現場のゼロ・エミッション(排出ゼロ)化を後押しする。

充電設備の研究は、コマツも進めている。電源がない環境でも充電が可能な充電設備のコンセプトとして、3月に米国ラスベガスで開催した国際建機展示会に、ミニショベル向け蓄電機能付き充電器や、坑内掘り鉱山機械向け充電器を出展。技術提携先である米国企業との協業で可動式充電器の開発も急ぐ。

「23年度は電動化建機の普及元年だ」。コマツの小川啓之社長は、建機の電動化市場をこう捉える。充電設備の開発とともに、電動建機自体の開発・投入の動きもさらに広がることが予想される。

コベルコ建機は25年に欧州市場で電動ミニショベルと小型重機ショベルを投入予定。国内では有線(トロリー)電動仕様のクローラークレーンを投入する。日本と欧州で取り組みが違うのは欧州の方が電動化取り組みに対する行政の支援が、ショベル以外に充電設備も補助対象にするなどと進んでいるためだ。

今後も電動化のゴールに向け、各社の開発競争がより激しさを増しそうだ。


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日刊工業新聞 2023年10月30日

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