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コマツ・日立建機は通期予想上方修正も…建機メーカーが足元の好調を素直に喜べない事情

建設機械各社が先行きの建機需要に対し、慎重姿勢を強めている。2024年3月期連結業績見通しはコマツ日立建機が上方修正したものの、理由は上期の好調の貯金と円安効果が大きい。下期はコベルコ建機も含めた3社とも油圧ショベルの需要減少を予測。足元の好調を素直に喜べないのが実情だ。

コマツは24年3月期の世界建機需要見通しを、7月公表の前年度比5―10%減から同10―15%減に引き下げた。マイナス影響が大きいのは欧州と中国、東南アジア。特に中国は7月の同30―40%減から、同40―50%減へ下方修正。菱沼聖史執行役員は「需要が好転する要素が見当たらず、マイナス傾向が続く」と予想する。

日立建機も中国の24年3月期の需要を同50%減、アジアも同18%減と見通す。コベルコ建機も中国と東南アジアの需要低迷で、24年3月期の油圧ショベル販売台数見通しを7月公表比1500台減の2万5500台に引き下げた。

各社が期待するのが北米市場だ。9月末時点で売上高の北米依存率はコマツが27%、日立建機が24%。中国の依存率は両社とも2%に過ぎない。しかし、北米需要が減速すれば大きな影響を受ける。

日立建機の先崎正文社長は「北米代理店からは、供給がまだ足りないとの声をいまだに多く聞く。南米の鉱山機械も好調で、まだ伸びる余地がある」と不安の声を打ち消す。

需要が減速した欧州向けショベルを一部、米国向けに振り向け、当座をしのいでおり、先崎社長は「この先何が起きても短期間で対応できるよう、アクセルとブレーキの操作をひんぱんにやる」と強調。景気見通しが不透明な今、変化への迅速な対応が各社の明暗を分けそうだ。


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日刊工業新聞 2023年11月23日

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