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車いすを脳波で操作する、NTTが開発した技術の仕組み

車いすを脳波で操作する、NTTが開発した技術の仕組み

ヘッドセットで計測した脳波をAIが分析して操作を行える

NTTはヘッドセットで計測した脳波で電動車いすを操作する技術を開発した。利用者が左手の運動をイメージした際の脳波を人工知能(AI)が分析して車いすを直進させる指令を出す。右手の運動をイメージすると、旋回させる指令を車いすの操作装置に送信する仕組み。現在は単体の操作の指令のみだが、2025年度をめどに車いすを動かしつつ右に曲がるなど複数の指令を同時に行えるよう、データ分析の効率化を目指す。体を動かせない障がい者や高齢者などの利用を見込む。

ヘッドセットで計測した脳波から運動指令情報をAIが抽出。その結果に基づいて車いすを動かす指令を電動車いすの操作装置に送信する。

NTTが行っている試験では、まず利用者が左手を使った運動をイメージした脳波パターンを約10秒間計測。この計測を約300回実施し、そのデータをAIに学習させる。左手を使った運動の脳波パターンをAIが検知したら、電動車いすを直進させる指令を出す仕組み。右手を使った運動をイメージした脳波の計測も同様に行い、車いすを旋回できるようにした。

今後は、複数の動作を組み合わせた指令を脳波で行える技術開発を進める。複数の動作指令は単体の指令よりも膨大なデータをAIに学習させる必要がある。より少ないデータでAIが複数動作の指令を行える効率的な手法を研究する。

また、実験室での試験環境と異なり、脳波に与えるノイズが多い実環境での実証を進める。車いすで自律的な移動が困難な障がい者や高齢者などの利用を想定する。このほか、仮想世界のアバター(分身)や横スクロールするアクションゲームのキャラクターをコントローラーなしで、脳波で操作する技術への応用も見込む。

日刊工業新聞 2023年12月18日

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