モーター・減速機…電動化支える製品提案、車部品メーカーがノウハウ生かし開発
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への取り組みの一環として、電動モビリティーの開発、普及が進んでいる。自転車や車いすなど多様化する電動モビリティーを含む社会の電動化で、重要な役割を担うのがモーターや減速機だ。関連するメーカーでは、自動車向けで培ったノウハウを生かした電動モビリティー用モーターや制御部品などの開発が活発化している。(八家宏太)
製造するモーター全体の約75%を自動車電装機器向けが占めるマブチモーター。高い品質が求められる自動車関連製品の製造で培った技術を生かし、生活に欠かせない家電など民生品へのモーター供給も手がける。同社は成長領域の一つに位置付けるモビリティー分野で、電動自転車や電動車いすなど電動モビリティーへの製品供給を進めている。
回路設計や磁気設計などのノウハウを生かし、モーターの小型・軽量化と高出力を実現。モーターのエネルギー変換効率は90%で、省エネルギーにもつなげる。自動車電装部品と民生用部品の技術を相互に活用する「共通規格化によるコストダウン」(ライフ・インダストリー事業部の秋本隆宏副事業部長)なども検討する。
拡大する電動モビリティー市場で新規顧客獲得を探る動きもある。コアレスモータ(神奈川県大和市)は、電動モビリティー向けのインホイールモーターを開発した。独自の電子オートマチックトランスミッション(AT、自動変速機)「EAT」により、速度や出力の高低を電気回路で切り替えることが可能。「一つのモーターで最大五つの機能を実現する」(技術部の土屋一郎氏)。電動車いすのほか、電動自転車など小型モビリティーで採用を目指す。
山田製作所(群馬県伊勢崎市)は自動車関連で培った技術を生かし、電動化に対応する新規事業に乗り出す。自動車のオイルポンプ部品である内接トロコイド型歯車の技術を応用し、精密減速機「YoHisen 減速機」を開発。軽量で非磁性の樹脂タイプも含めてラインアップした。
既存の社内設備や技術を用いて製造。農業機器や電動機器の駆動部向けに提案し、ニーズに応じて開発を進める方針だ。
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