外径100ナノメートルの中空シリカ量産、豊田化工が成功
豊田化工(愛知県豊田市、鈴木生弥社長)は、外径100ナノメートル(ナノは10億分の1)のシリカ製中空粒子の量産に成功し、販売を始めた。名古屋工業大学の藤正督教授が開発した中空シリカの合成技術を基に、生産技術を完成。断熱材などへの利用を見込む。価格は1グラム1万円(消費税抜き)。
量産する中空シリカは殻厚が10ナノメートル。内径30ナノメートルの空間を有し、20グラムで500ミリリットルの容量となる。高い断熱性や高電気抵抗、低誘電率などの特性が明らかになっており、塗料や樹脂に混入させることで母材の機能向上が期待できる。
断熱性能が求められる窓ガラスなどの建材や次世代通信機器の部材、液晶画面などへの利用を見込んでいる。すでに一部サンプル出荷を始めており、今後は本社工場で量産を本格化する。
同社は乾燥材などに利用するシリカゲルのメーカー。ナノサイズの中空シリカの技術ライセンスを名古屋工大から受け、藤教授からの支援を受けて量産化に成功。今後、外径40ナノメートルサイズの量産化も検討する。
日刊工業新聞 2023年12月14日