吸着率97.7%、溶液中の貴金属を効率除去するシリカ型吸着剤開発
エヌ・イーケムキャットが本格販売へ
エヌ・イーケムキャット(東京都港区、遠藤晋社長)は、開発したスカベンジャー(吸着剤)を2024年以降に本格販売する。溶液に含まれる貴金属の吸着除去に使う。貴金属の電子状態を表す価数を問わず吸着が可能で、高い吸着性能を発揮する。医薬品や農薬、電子材料向けなどに幅広く提案する。
新製品のシリカ粉末型スカベンジャー「CPs―HP50」は、0価の貴金属の吸着除去に有効なチオール系と、価数を持つ貴金属を吸着するアミン系の特徴を併せ持つ。異なる価数の貴金属が混在する溶液を使った実験で吸着率97・7%を記録し、従来の吸着率を上回った。
またシリカ粉末は粒径200マイクロメートル程度と大きいため、ろ過性能が高くカラム(筒状容器)を使う吸着にも対応できる。強酸性(pH1)から弱アルカリ性(pH9)まで、幅広いpH領域でも吸着性能を発揮する。
すでにサンプル販売を開始しており、23年内に数十キログラムを提供できる体制を整える。ただ顧客から早期販売への要望もあるため、24年以降できるだけ早い量産化に対応する。
スカベンジャーのCPsシリーズは医薬品や農薬などの製造工程で、パラジウム(Pd)などの貴金属を使う触媒の反応後に溶液に含まれる貴金属の吸着除去に使う。従来はチオール系とアミン系の2種類を、貴金属の価数に応じて使い分けていた。新製品では作業の効率化につながるほか、貴金属リサイクルにも貢献できる。
日刊工業新聞 2023年10月12日