独立か残留か…行動計画骨子まとまった「学術会議」在り方の行方
日本学術会議の国からの独立を含めた「在り方」問題について、学術会議がアクションプランの骨子をまとめた。総会で承認され、この3年間で実現する内容が固まった。在り方を検討する内閣府懇談会で必要な資金や人員について検討し、組織形態の結論を得る。
「国から独立しなければできないことはほぼない。必要不可欠の改革を効率的に行える組織改革案を選ぶべきだ」―。学術会議の光石衛会長は内閣府の独立案は移行コストが大きく、財源も不確かだと指摘する。そこで学術会議の総会で内閣府担当者が独立案を説明する機会を設けた。会員からの質問には答えたが、不安は解消されなかった。
例えば財源の多様化では研究成果や科学的提言のフリーライドが課題になっている。報告書をまとめても、利用者が対価を払うとは限らない。会員からは「国立大学の法人化でも収入増がうたわれたが、そうはなっていない」と指摘された。内閣府は「重要な問題。ともに考えていきたい」という。不確実性の高い環境で独立への議論が進む。
この総会で学術会議は7項目のアクションプランを策定した。「タイムリー、スピーディーな意思の表出と助言機能の強化」や「学術を核とした地方活性化の促進」、「事務局機能の拡充を含む企画執行体制の強化」などを挙げ、第26期の3年間で取り組む。詳細はワーキングチームを作って具体化する。光石会長は「ベースとなる活動資金も現状では足りていない」と説明する。必要な経費を積算して、内閣府の懇談会に提出する。
懇談会の岸輝雄座長は「100億円になるか、20億、30億円になるかは分からないが、合理性のある金額で合意したい」という。現在の学術会議の予算は10億円弱。国の学術代表機関としては不十分という共通認識が懇談会内でもできており、予算の増額は叶いそうな見込みだ。残りは残留か独立かで学術会議も納得する結論が得られるかが焦点となる。