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いすゞと日野自動車で業績明暗、商用車業界の今後の視界は?

いすゞと日野自動車で業績明暗、商用車業界の今後の視界は?

経営統合は資源を効率化できる一方、条件や企業文化の違いなど乗り越えるべきハードルも高い(11月4日=ジャパンモビリティショーの日野自〈手前〉と三菱ふそう〈奥〉ブース)

脱炭素課題、中長期では視界良好

2023年の商用車業界は半導体不足の改善が進んだものの、主戦場のタイ、インドネシアなどの市況悪化で苦戦を強いられた。上場2社では、価格対応や原価低減などで増益を確保するいすゞ自動車と、エンジン認証不正の補償や訴訟対応で赤字が続く日野自動車で明暗が分かれた。日野自と三菱ふそうトラック・バスの経営統合も24年に控え、商用車業界はかつてなく注目されている。

いすゞ、日野自ともに23年4―9月期決算発表に合わせて24年3月期の世界販売計画を引き下げた。タイのピックアップトラック市場でシェア4割超を握るいすゞは、23年4―9月期の同国の販売台数が前年同期比約42%減った。日野自はインドネシアのトラック販売が同約17%減で、タイも同約23%減少。タイはトラック購入時のローン審査の厳格化、インドネシアは資源価格の低迷が響いた。

日野自はこれらの地域の市況悪化について「今期は底を打たない」(中野靖最高財務責任者〈CFO〉)との認識。いすゞの山北文也企画・財務部門バイスプレジデント(VP)はタイ市場について「25年3月期の後半ごろから回復するのではないか」と見る。

商用車業界も世界的な脱炭素の潮流に直面している。5月、トヨタ自動車と独ダイムラー・トラックは傘下の日野自と三菱ふそうの経営統合計画を発表。4社の大きな連携の下で脱炭素対応を急ぐ。

テレマティクス技術や自動運転、半導体調達をはじめとする経済安全保障への対応など、業界を取り巻く課題は脱炭素だけではない。個社の力には限界があり、連携構築は課題解決の有効な手だてとなり得る。ただ、経営統合は条件や企業文化の違いなど乗り越えるべきハードルも高い。

EYストラテジー・アンド・コンサルティングの早瀬慶パートナーは今後の商用車業界について「中長期にグローバルで見ると視界は良好。気候変動などの社会課題がある中、旺盛なモノの移動ニーズをどう満たすか。業界のプレーヤーが解かなければならない問題だ」と指摘する。

日刊工業新聞 2023年12月06日

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